日本の製造業が集結した「CeBIT 2017」ジャパン・パビリオン見聞記:CeBIT 2017(3/3 ページ)
ドイツ・ハノーバーで開催された「CeBIT 2017」のジャパン・パビリオンには総計118社もの日本の企業/団体が出展した。その多くを、IoT(モノのインターネット)の活用を目指す製造業が占めていた。本稿では、CeBIT 2017のジャパン・パビリオンの様子や(記者が)気になった展示を紹介する。
注目を集めた「多視点裸眼3D内視鏡システム」
ここからはホール4のLife/Office/SocietyとElementの両ゾーンの展示を紹介する。注目を集めていたのが金子製作所だ。リアルタイムで表示できる「多視点裸眼3D内視鏡システム」は、3Dメガネなしで、モニターの前方150度の範囲にいる人々に3D映像を見せることができる。レンチキュラー方式の3Dディスプレイを使用しているが、最も重要なのは3D表示に必要なデータをリアルタイムで作り込むアルゴリズムを核とした3Dモジュールだという。
Elementゾーンには、アルプス電気、TDK、村田製作所、ロームといった日本を代表する半導体/電子部品メーカーが出展していた。
東芝はIoTプラットフォーム「SPINEX」をアピールした。事例の1つとなるのが、蓄電池を活用した分散電源への適用事例になる。再生可能エネルギーの最大の課題は、その発電量が不安定なことだ。そこで、分散している電源をITでつなげて電力を融通する「Virtual Power Plant」にすれば課題解決につなげられる。
2016年後半には、横浜市、東京電力と協力して、横浜市内の18の小学校に容量10kWhの充電池「SCiB」を設置。緊急用の電力を維持しつつ、電力取引市場を予測して売買電を行う実証実験を実施。そのITインフラになったのがSPINEXだ。
自動運転技術を中心に出展した三菱電機だが、展示ブースの一部を使って、スマートファクトリーのオープンプラットフォーム「FA-ITオープンプラットフォーム」を展示した。ホール12ではファナックが、同じくスマートファクトリーのオープンプラットフォームである「Field System」を展示していたので、ジャパン・パビリオンの端と端で、日本を代表するスマートファクトリーのオープンプラットフォームが展開されていたわけだ。
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