ついに三菱電機がオープン化へ、スマート工場実現に導くエッジ基盤提供:スマートファクトリー(2/2 ページ)
三菱電機は製造業のスマート化に向けた新たなエッジ領域の「FA-ITオープンプラットフォーム」を提案する。生産現場とITシステムを簡単につなぐ基盤を提供することで、従来構築が難しかったスマート工場実現を支援する。
スマート工場実現の負担を軽減
「FA-ITオープンプラットフォーム」を活用することで、スマート工場実現の課題となっていた「接続の手間とコスト」「データ整理」「使い勝手の良いアプリケーション」の3つの課題を解決できるという。従来は個々のデバイスおよびプロトコルなどを結び、データ化し、それをアプリケーションに合う形でクラウドなどに転送するなど仕組みそのものが複雑化していたものが、まずFA-ITオープンプラットフォームに上位下位ともに結ぶだけで実現可能になる。さらに得たデータも「データモデル管理機能」によりどこに何のデータがあるかを把握が容易ですぐに活用が可能になる。
さらに、オープン化で大きな利点を生み出すと想定されるのがアプリケーションである。同プラットフォームは基本的には、プラットフォーム基本ソフトウェアと、アプリケーションと接続するためのAPIおよびSDK、各種フィールドネットワークと接続するインタフェース仕様書や開発キットなど、開発ツールを全てオープン化して提供する計画としている。
さらにこれらの開発により生まれたアプリケーションなどを提供する「開発者用サイトアプリストア」なども用意する計画である。このアプリサイトを通じて製造現場のノウハウやスマート工場構築に必要な機能をダウンロードできるようにする。「アプリストアについては別会社で運営することも検討する」(漆間氏)としている。
FA-ITオープンプラットフォームは、2017年4月から開発キットの提供を開始。2017年10月頃には何らかの製品を出すとしている。また、2017年3月にドイツで開催されるCeBIT、4月に開催されるハノーバーメッセでも同プラットフォームを出展し、海外でのアピールも同時に進めていくとしている。
e-F@ctoryアライアンスでも発表
同プラットフォームの発表は、約400人が参加したe-F@ctoryアライアンス総会でも実施。あいさつに立った三菱電機 執行役社長の柵山正樹氏は「ITと社会や産業を組み合わせて新たな価値を生み出す時代に入っている。モノづくりの世界でもインダストリー4.0をはじめとして世界中でさまざまな動きが起こっている。三菱電機も自社の取り組みにIoTを取り込み新たな成長につなげていく考えだ。FAシステム事業は従来はハードウェアを中心としてきたが、ハードウェアとソフトウェア、サービスを組み合わせた形へと進化させる。モノづくりIoT導入のポイントとなるのがプラットフォームである。そのプラットフォームでオープンなものを提供し、まずモノづくりのスマート化を実現できるように支援していく」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 三菱電機が第4次産業革命で変えること、変えないこと
IoTがもたらす革新は、製造業にどういう影響をもたらすのだろうか。FA大手の三菱電機は、IoTによる製造現場の革新に危機感を持って立ち向かう。三菱電機 執行役員で、FAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ プロジェクトマネージャーの山本雅之氏に話を聞いた。 - 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
2016年は製造業におけるIoT活用が具体的なものとして進展した1年となったが、2017年もその流れはとどまることはない。実導入や実活用に向けた本格的な動きが広がる中で2016年に注目を集めたのが、IoTを活用する基盤「IoTプラットフォーム」である。さまざまな解釈、さまざまなレイヤーのIoTプラットフォームが乱立する中、2017年はIoT基盤の整理が進む1年となる。 - ヤマザキマザックとシスコが製造業IoTで提携、スマート工場実現を加速
ヤマザキマザックとシスコシステムズは、製造業のIoT化推進と製造業向けのクラウドサービスの開発に向けて協業することを発表した。既に両社は2015年から工作機械をネットワーク環境に接続する「スマートボックス」の共同開発を推進しており、今後はこの枠組みをさらに広げる方針である。 - 製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ
ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。 - スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。