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イノベーションは空から突然降ってくると思いますか?“イノベーション思考”で発想が変わる!(6)(3/3 ページ)

発想を生み出すためには「考え方の技術」がある。コツの解説と演習を通じてその技術を身につけてもらおうという当連載。前回に引き続き、演習問題の解説編をお届けします。

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「大胆な発想」は、突然空から降ってこない

 さて、今回で当連載も最終回です。

 自身の思考のクセを見抜き、視野を広げて解決策を導き出すこと、そして何よりも、自分の頭で考えることの大切さを実感してほしいと思いながら書いてきました。日ごろ、頭の中で羅列するアイデアは、本来なら無数にある解決策のうちの一部でしかないことを、謙虚に受け止めることがとても大事です。

 思考だけではイノベーションは起きません。しかしこの思考法を身につけると、自分の業務の生産性を上げたり、アウトプットの質を高めたりすることが可能です。

 例えば、日々の自分の仕事をイノベーション思考にそって構成してみてください。自分の仕事の大きなテーマ、3つのミッションは何なのだろう。それを考えると、今日行った業務の一つ一つはその中間概念、もしくは一番下のレイヤーの一部にすぎないことが分かります。

 ドラッカーの例え話にもあります。ある建築現場で、“何をしているのか”を尋ねられた3人の石工がそれぞれこう答えた。1人目は「これでお金を稼いでいる」、2人目は「この国で最も上手な石切りの仕事をしている」、そして3人目は目を輝かせながら「皆の憩いの場となる教会を作っているんだ!」と。

 自分の日々の業務では「この1つのアクションは何のために行うのか」という上位概念を常に意識してください。

 弊社では農園研修を行うのですが、「鍬で耕す」「畝を作る」「マルチを張る」「苗を植える」「近くに棒を指す」「苗と棒を紐でくくる」という一つ一つの作業の意図を理解しているかそうでないかで、アウトプットが全く異なってくるのがよく分かります。

 「マルチを張る」のは、地熱が苗の成長を促進するため。「じゃあ、少しでも熱が逃げないように土にぴったり付くように張ろう」「苗を植えるときの穴は小さくしよう」という発想が生まれるのです。

 日頃のアクションも“イノベーション思考”に沿って、上位概念と中間概念を考えながら進めていくと、最終的な成果や発想に大きな違いが生まれます。

 突然、とんでもないアイデアが空から降ってくるわけではないのです。私たちは日ごろ、自分たちの思考のクセに沿って考えています。その思考法をブラッシュアップし、モレのない発想が生まれるようにクセづけておくこと。それが世界に広がるイノベーションの第一歩なのです。

 ぜひ、これからも“イノベーション思考”を続け、ともに世界に変革を起こしていきましょう!

筆者プロフィル

株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)

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通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。

2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。

現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなコンサルティングサービスを提供する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/

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