基本を侮るから上手くいかない 〜まずはMECE〜:“イノベーション思考”で発想が変わる!(2)(1/2 ページ)
“考え方”という技術を身につけ、“発想力”を強化する“イノベーション思考”を身につける! 今回はロジカルシンキングの基本中の基本、「MECE」について解説します。「そんなこと知ってるよ」と侮るなかれ。「MECE」は思考を整理するためだけでなく、自分でも気付かなかった新たな“箱”を見つけるために活用できるのです。
“ロジカルシンキング”と“ひらめき”。この2つが対極にあるものだと考える方も多いかもしれません。「既存の枠にとらわれていたら、新しいものなど生まれない!」――確かにそう言えます。しかし、考え方はあくまで“技術”。その技術を用いて、この世にないものを生み出していくのです。そのための基本的なスキルを当然のように日々活用するには、日ごろの訓練が必要です。解説と実践を通して身につけていきましょう!
何はともあれ、まず「MECE」
第1回でもお伝えした通り、1つのテーマに対して、その抽象度が高いままアイデアを考えるのではなく、テーマを丁寧に構造分解し、細分化されたそれぞれのテーマについてアイデアを出すことで、自分の考えのクセを排除した、ゼロベースの検討をすることができます。
そのために必要な考え方が「MECE」。「ミーシー」あるいは「ミッシー」などと呼ばれ、聞いたことがある方もいるかと思います。MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「モレがなく、ダブりもない状態」を指します。例えば「現代日本語文字」をMECEにならって分類すると、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」となります。
モレがある、もしくはダブりがあると全体像が把握できず、適切なソリューションを導き出せません。例えば、あなたはホテルの支配人です。新たな顧客の開拓を図っていますが、そのままの抽象度で考えた策は自分の考えのクセに依存した、ただの「思いつき」になってしまいます。そこで、まずは課題の抽象度をブレイクダウンするために来館者の属性を切り口として分解しました(下図)。
多くのモレやダブりがあるのが分かるかと思います。「学生」「社会人」の中には「女性」も含まれることでダブりが生じていますし、性別で考えると、「男性」の要素がモレています。このまま検討を進めてしまうと、これから大きなマーケットとなりそうな定年退職後の男性団体客をターゲットとしたサービス、というアイデアが生まれることはないでしょう。
結果的に、そのアイデアが漏れようか漏れていなかろうが採用しなかった、という結論になったとしても、MECEによって全ての要素について検討した上で選ばれたアイデアと思いつきで出されたアイデアでは、その価値が全く違います。これは第一回でもお話ししたとおりですね。
では、これから実際にMECEの例題を見てみながら重要なポイントについて説明します。
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