ダッソーがスタートアップ支援プログラムをアジアに拡大、東京に中核拠点も:SOLIDWORKS World 2017
ダッソー・システムズは、スタートアップ向けの支援プログラム「3DEXPERIENCE Lab(3Dエクスペリエンスラボ)」の展開を、欧州、米国に次いで、アジア地域にも拡大する。アジアでの中核拠点は、東京と上海が有力候補になっている。
ダッソー・システムズは、ベンチャーやスタートアップ向けの支援プログラム「3DEXPERIENCE Lab(3Dエクスペリエンスラボ)」の展開を、欧州、米国に次いで、アジア地域にも拡大する。ソリッドワークスブランドの年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」(会期:米国時間2017年2月5日〜2月8日、ロサンゼルスコンベンションセンター)で明らかにした。
3Dエクスペリエンスラボでは、ベンチャーやスタートアップから申し込みのあった開発プロジェクトに対する支援を行うプログラムだ。申し込み企業には、ダッソー・システムズの「3Dエクスペリエンスプラットフォーム」のクラウドや各種設計製造ツールが提供され、ダッソー・システムズ社員がメンターとなってプロジェクトを支援する。
開発プロジェクトには「Disrupting Products」「Collective Intelligence」「Transforming Society」という3つの条件が求められる。その上で最終的にCEOのベルナール・シャーレス氏も加わるダッソー・システムズ経営陣に対するプレゼンテーションを行い、投資までをも含めた支援を行うプロジェクトが選定される。
3Dエクスペリエンスラボを担当するダッソー・システムズのFrederic Vacher氏は「この1年ほどで始めた取り組みで約250件の申し込みがあり、それらの中で最終的に投資を含めた支援が得られたのは10件になる。あまり数が多くないと思われるかもしれないが、1件1件の価値を重視した結果だ」と語る。
3Dエクスペリエンスラボへの申し込みは、これまで欧州や米国が中心になっていた、これは、大学やファブスペースなどと連携したインキュベーション拠点が活動の中核になっているからだ。例えば欧州であれば、ダッソー・システムズの本社があるパリではファブラボと、米国ではソリッドワークスブランドの本拠であるボストンではマサチューセッツ工科大学と連携した拠点を設けている。その一方で、日本を含めたアジアにインキュベーション拠点はなかった。
ダッソー・システムズCEOのシャーレス氏は、SOLIDWORKS World 2017の基調講演で、2017年から3Dエクスペリエンスラボの活動をアジアに拡大する方針を示した。これを受けて、ダッソー・システムズ日本法人もそのための準備を進めている。「アジアにおける3Dエクスペリエンスラボの中核拠点は、東京か上海を想定している。そのためには、やはりパートナーとの連携が重要になるだろう」(Vacher氏)としている。
関連記事
- ソリッドワークスがスマート製造に踏み出す、CAMソフトを標準搭載へ
「SOLIDWORKS World 2017」の基調講演では、3D CADによる設計から製造をそのままつなげる「スマート製造」に向け、全てのバージョンのソリッドワークスにCAMソフトウェア「SOLIDWORKS CAM」を標準搭載する方針が示された。トポロジー最適化機能や、3Dプリンタ向けの微細格子形状自動生成機能などの開発も進んでいる。 - 「3D CADとIoT」がイマイチ理解できないので、ダッソーに聞いてみた
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は「3D CADとIoT」について、ダッソーを訪問して疑問をぶつけてみた。 - 「エクスペリエンスの時代の成功を支える」、ダッソーCEOが事業展開に手応え
Dassault Systemes(ダッソー)社長兼CEOのベルナール・シャーレス氏は「今まさにエクスペリエンスエコノミー(経験経済)の時代がやってきている。われわれが提唱してきた『3Dエクスペリエンス・プラットフォーム(3D Experience Platform)』であれば、エクスペリエンスエコノミーにおける製造業の成功を助けられる」と訴えた。 - 新興企業を支援し、革新的なプロジェクトを育成するラボを設立
ダッソー・システムズは、オープン・イノベーションを推進するラボの設立を発表した。新興企業やメーカーを支援し、革新的なプロジェクトを育成する新たな枠組みを提供するという。 - ハードウェアスタートアップに必要なのは「リスク屋」!?
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はOmotenasy CEO 今村泰彦氏、同社CCO 西村拓紀氏が登場する。 - “日本のモノ作り”を世界へ、DMMがスタートアップ支援の新事業
DMM.comがハードウェスタートアップの企画製造した製品を、一般商品として流通させるための支援事業「DMM.make SELECTION」を開始する。海外拠点も設け、海外での製品販売も支援する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.