インダストリー4.0を先取りしていたORiN、“つながる工場”の中核を担う:スマートファクトリー(2/2 ページ)
工場用情報システム用ミドルウェア「ORiN(オライン)」を策定するORiN協議会が「ORiNミーティング2017」を開催。インダストリー4.0に代表される“つながる工場”に注目が集まる中で、10年以上前からFA機器の異種環境を吸収するミドルウェアとして策定されてきたORiNへの期待も高まっている。
「ORiNなら異なる規格を全てつなげられる」
澤田氏に続き、ベッコフオートメーション社長の川野俊充氏が、「独Industrie 4.0が標準化で目指すスマートサービスの世界とORiNの親和性」というタイトルで講演を行った。
川野氏は講演の中で、インダストリー4.0の実践戦略におけるサイバーフィジカルシステムの最小構成要素として定義された「インダストリー4.0コンポーネント」における「管理シェル」が重要な役割を果たすことを取り上げた※)。
※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開
同氏は「ORiNのアプリケーションはこの管理シェルと同じコンセプトである。インダストリー4.0と同じ世界を描くORiNは、10年以上前から活動しており、さまざまな知見を積み重ねている。ORiNを使えば、インダストリー4.0やインダストリアルインターネット、IVI(Industrial Value Chain Initiative)などで、異なる規格が生まれたとしても、全てつなげられるのではないか。例えばドイツにFA製品を納入する際に、インダストリー4.0対応が求められれば、そのFA製品がORiNに対応していればインダストリー4.0にも簡単に対応できる。逆に、国内で構築する生産ラインの一部にインダストリー4.0準拠のドイツ製品を使う場合も、ORiNがその差異を吸収してくれる」と述べている。
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