クルマのワイヤレス充電は高周波・高出力でも危なくない、クアルコムの安全技術:オートモーティブワールド2017
Qualcomm Technologiesは、「オートモーティブワールド2017」内の「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」において、電気自動車やプラグインハイブリッド車のワイヤレス充電向け安全技術を紹介した。
Qualcomm Technologies(以下、クアルコム)は、「オートモーティブワールド2017」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)内の「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」において、電気自動車やプラグインハイブリッド車のワイヤレス充電向け安全技術を紹介した。
同社は電磁誘導方式を用いたワイヤレス充電技術「Qualcomm Halo」(以下、Halo)のライセンスを自動車業界向けに提供している。2018年に、Mercedes-Benzの旗艦車種「Sクラス」のプラグインハイブリッドモデルでHaloの採用が決まっている。
展示では、地面に設置する送電コイルの安全技術を紹介した。ワイヤレス充電は高周波・高出力となるため、人や金属物が接近した場合の安全を確保する必要がある。
送電コイルが人の接近や金属との接触を検知し、送電を停止するデモンストレーションを行った。送電コイルの周囲、数十cmの範囲に人が立ったことをレーダーが検知すると出力が0になる。近くに人がいない間のみ送電する。
金属物は、送電コイルに内蔵したループコイルで検知する。ループコイルには微弱な電流が流れており、金属物以外は検知しない。送電コイル上に複数の金属物が載っても検知できる。
同社はワイヤレス充電は自動駐車技術と組み合わせることで利便性が高まると見込んでいる。「充電コネクターの接続作業が不要なので、降車後にクルマを自動で駐車スペースに移動させ充電することが可能になる。次にクルマに乗るときにはバッテリーが満充電で、自動で駐車場から出てくる。ワイヤレス充電は重量増とコスト増になってしまうので、そうしたメリットがなければ普及が難しい」(クアルコムの説明員)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ガソリンエンジンがなくなる日は、きっと来る
原油は枯渇へ向かい、環境の法規制も厳しくなったいま、ガソリンエンジンの利用は限界か!? だが次世代技術にも課題がある。 - クアルコムの電気自動車向けワイヤレス給電技術、DD方式コイルで差異化
クアルコムは、「オートモーティブワールド2016」で、同社の電気自動車向けワイヤレス給電技術「Halo」を紹介。米国の規格策定活動などで提案しているDD方式の受電コイルのメリットなどについて説明した。 - クアルコムとIHIが見据えるEV向けワイヤレス充電の未来
第1回のWiTricityに引き続き、電気自動車(EV)向けワイヤレス充電の有力企業であるクアルコム、IHIに取材を行った。果たして彼らはライバルなのか、協業できる関係なのか。次に打つ手は何なのか。その核心に迫った。 - (日本編)無線充電の技術、誰が強いのか
電気自動車(EV)や携帯型機器へ、コードを使わずに電力を送る無線充電技術。前回に続き、今回は日本における特許の実態を紹介する。調査会社のパテント・リザルトによれば、セイコーエプソンを筆頭にトヨタ自動車やパナソニック電工の特許が強い。 - トヨタがワイヤレス充電の実証実験を開始、充電制御の無線通信はZigBeeを使用
トヨタ自動車は、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」を用いて、ワイヤレス充電システムの実証実験を開始すると発表した。愛知県内のプリウスPHVのオーナー宅などで車両3台を用い、同年2月下旬から当面1年間実施する予定。