現場のプロを助けるICTへ、JALとIBMが航空機整備士向け業務支援ソフトを開発:製造ITニュース
JALと日本IBMは、航空業界における整備士の業務負担を軽減するモバイルアプリを共同開発した。開発の基盤となったのはIBMとアップルの提携による「IBM MobileFirst for iOS」である。
日本航空(JAL)と日本IBMは2016年12月14日、航空業界における整備士の働き方変革を実現することを目的に航空機整備業務専用の「IBM MobileFirst for iOS」アプリを開発したと発表した。
「IBM MobileFirst for iOS」は、2014年に米国のアップル(Apple)とIBMがモバイルを活用した業務用システムに対する提携を行ったことで生まれた、企業向けのモバイルアプリシリーズである。2015年末までに既に100種類以上の企業向けアプリがリリースされている。
日本IBMのモバイル事業統括部 事業部長の藤森慶太氏は「モバイルシステムは現場のプロフェッショナルに寄り添っている仕組みであり、業務目線でどういう価値を提供できるのかが重要である。1つ1つのアプリに共同開発するユーザーを決めており航空整備士向けのアプリについてはJALと共同で開発することを決めた」と述べている。
さらに「開発に際して気をつけたのは、徹底したユーザー目線で開発を進めた点とJALの業務プロセスだけに固執するのではなく、現在の技術で航空機整備の在り方を考えたときに最適な形はどういうものかを考えて作り上げた点だ」と藤森氏は語る。
6つのシステムで作業をする負担を軽減
同アプリは整備士が航空機整備を効率的に行うため、場所を選ばず必要な情報の閲覧や入力などを行うことができる。
通常、航空機整備士は出勤すると、作業管理システムでその日の作業を確認し、フライト情報システムで関連するフライト情報を把握。その他、不具合情報を確認するためのシステムや、航空機メーカーのWebアプリでの機体情報の確認、紙媒体での情報共有など6つ以上のシステムの情報を確認しなければならないという。こうした確認作業はさらに指揮室などオフィス環境で行わなければならず、航空便間の整備では移動や確認作業に多くの手間が必要だった。
今回の航空機整備士向けの「IBM MobileFirst for iOS」アプリでは、こうした負担を解消する。iPhoneやiPad向けのインタフェースとそのバックヤードとなるモバイルバックエンドサーバを構築し、このバックエンドサーバが基幹システムと情報連携することで、複雑化したシステムをシンプル化し、必要な情報をスマートデバイスでいつでもどこでも入力、閲覧できる。
JALではこのアプリを活用することで整備士の業務を変革し、航空機の品質と定時性のさらなる向上を目指すとともに、整備士の新しい働き方の世界標準を目指すとしている。さらに世界のエアライン整備士が活用できる業界標準アプリとなることを目指し作り込みを進めているという。
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