急速に普及しつつある「LoRa」:IoT観測所(27)(3/3 ページ)
既に27カ国、150の地域でサービスが始まっている「LoRa」について紹介する。「SIGFOX」など他のLPWAN(Low-Power Wide Area Network)との違いはどこにあるのか。LoRaの普及状況や課題などとともに見ていく。
LoRaWANの普及状況
このLoRaWAN、非常に早いスピードで現在普及を始めている。実証実験を兼ねたサービス開始の第1号はフランスのBouygues Telecomで、同社が提供するGSM向けの基地局にLoRaWANのアンテナを追加する形でサービスを始めたと発表があったのは2015年7月のことだが、2016年10月に韓国で開催されたOpenHouseでは、既に27カ国、150の地域でサービスが始まったことが報告されている(図4)。
図4:2016年10月に韓国で開催されたLoRa Alliance Open Houseにおけるプレゼンテーションより。もちろん黄色に塗りつぶされた国の全ての場所でサービスが享受できるわけではないのだが (クリックで拡大)
国内では2016年9月にソフトバンクがサービスを提供することを発表しているほか、2016年5月にはソラコムがM2B通信企画(現:M2Bコミュニケーションズ)への出資を発表するなど、明確に動き始めている。特にソラコムは東京八王子*)のほか北海道/宮崎/沖縄で実証実験を行っており、この結果を2016年7月に行ったSORACOM Conference“Discovery”の中で発表している。またLoRaWANに対応した機器も急速に入手が容易になっている。既にMicrochipやSTMicroelectronicsからLoRaWAN対応トランシーバーを内蔵したMCUが出荷を開始しており、LoRaWAN対応トランシーバーモジュールはかなりの種類が入手可能である。
*)八王子での実証実験の実施は、M2BコミュニケーションズおよびABITが行っているとの指摘がありましたので、その旨を追記致します(2016年11月24日)。
LoRaWANの課題
LoRaWANに難点があるとすれば、SIGFOXのようなクラウドサービスも何もない(全部アプリケーション事業者が開発する必要がある)ことだが、このあたりは今後LoRaWANサービス事業者が何らかのサービスを提供する可能性もあるので、現段階ではそれほど大きな問題にはならないだろう。ただSIGFOX以外にも競合サービスが出てくる兆しはあり(これは次回に触れたい)、このあたりに追い付かれる前に実用的な商用サービスを開始できるかどうか、というあたりがLoRaWANの今後の課題になると思われる。
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