ファナックがIoT基盤の壮大な実演、JIMTOFで80社250台の工作機械を見える化:JIMTOF2016(2/2 ページ)
ファナックは「JIMTOF2016」において、同社が展開する工場用IoT基盤「FIELD system」の壮大な実演を行った。同システムによりJIMTOFに出展した機械メーカー80社、250台の工作機械をつなぎ、稼働状況の見える化を実現した。
JIMTOF会場の250台の工作機械を一元表示
今回のデモでは、まずJIMTOFに出展している80社の機械メーカーの250台の工作機械から情報を吸い上げ、その稼働状況を一元的に閲覧できるようにした。
「FIELD system」への接続は、ファナックのCNCを使っている機械であれば、そのまま利用することができる。その他の機械については、オークマのCNCを用い、米国製造技術協会(AMT)が主導する製造業向けオープン通信規格「MTConnect(MT コネクト)」経由で情報を集めた。また、三菱電機のCNCを用い、インダストリー4.0の推奨プロトコルともいわれている「OPC-UA」経由で集めるケースもあったという。
ブース説明員は「ファナックの『FIELD system』の価値を体感してもらうとともに、多くの機械メーカーの協力を得て『オープンである』ということを強く訴えたい」と話していた。
「FIELD system」専用の産業用PCも用意
これらと合わせて、新たに「FIELD system」との連携を強化した産業用PCの試作品なども出展した。新製品は堅牢、コンパクトでファンレスな「FIELD BASE」と、高性能で高い拡張性などを実現した「FIELD BASE PRO」である。FA環境に対応した高い信頼性と温度範囲を持つ他、「FIELD system」で今後開発が広がるアプリケーションの実行に最適化した産業用PCである点が特徴である。「2017年の発売となる」とファナックの説明員は話している。
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