トヨタの電気自動車の命運を決めるのは、たった4人の社内ベンチャー:電気自動車
トヨタ自動車は、電気自動車を開発する社内ベンチャーを新設する。メンバーは4人で、2016年12月に発足する。小さな組織で仕事を進めることでプロジェクトのスピードアップを図り、商品の早期投入を目指す。
トヨタ自動車は2016年11月17日、電気自動車を開発する社内ベンチャーを新設すると発表した。メンバーは4人で、2016年12月に発足する。小さな組織で仕事を進めることでプロジェクトのスピードアップを図り、商品の早期投入を目指す。
豊田自動織機、アイシン精機、デンソー、トヨタ自動車の4社から1人ずつ参加する。各社から参加することで、トヨタグループが持つ技術やノウハウ、リソースを活用する狙いがある。
究極のエコカーだけでは製品戦略が埋まらない
トヨタ自動車は全方位でエコカー開発を進めており、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車に取り組んできた。特に燃料電池車は、走行距離の長さや水素の充填に要する時間といった使い勝手の面でガソリン車に近いため、“究極のエコカー”と位置付けて注力してきた。
しかし、国や地域によってエネルギー課題やインフラの整備状況が異なるため、水素に限らずさまざまなインフラに対応した製品ラインアップが必要だと判断し、電気自動車を早期に投入するための体制を整えることを決めた。
トヨタ自動車は、直近ではTesla Motors(テスラ)と協力して電気自動車の開発に取り組んでいた。2012年9月から米国カリフォルニア州で電気自動車「RAV4 EV」の販売を開始。モーター、インバータ、18650サイズ(直径18mm×長さ65mm)のリチウムイオン電池セルを用いた電池パックから構成される電動システムは、テスラが供給したもの。満充電からの走行距離が103マイル(約166km)。価格は4万9800米ドルで、2014年末までに約2600台を販売する計画を立てていた。RAV4 EVの導入は、カリフォルニア州で施行されているZEV(Zero Emission Vehicle)規制に対応するためだった。
また、2012年9月には4人乗りのコンパクトカー「iQ」をベースにした電気自動車「eQ」を発表した。「レクサスGS450h」「プリウス」「プリウスPHV」、RAV4 EVといった既存車両の電動部品の流用によって、開発期間の短縮を実現。国土交通省が電気自動車の電費の基準として定める、1km走行するのに必要な電池の容量(Wh)を示す交流電力量消費率(JC08モード)は、フィットEVの106Wh/kmよりも良好な104Wh/kmを達成した。
eQは自治体や特定利用者向けの限定導入にとどまっており、RAV4 EVは2014年末に生産を終了した。
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