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マグナが開発中の「サイドミラー併用の電子ミラー」、サイドミラーはあえて残す車載情報機器

マグナが、従来の鏡を使うサイドミラーと、カメラとディスプレイを使う電子ミラーを併用したシステムを開発中だ。サイドミラーをカメラとディスプレイで置き換えるミラーレス車が注目を集めるが、従来のサイドミラーをあえて残す。

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マグナが開発中のビジョンシステム「CLEARVIEW(クリアビュー)」
マグナが開発中のビジョンシステム「CLEARVIEW(クリアビュー)」(クリックして拡大)

 マグナ・インターナショナルは、北米本社で行ったメディアデー(2016年10月26日開催)において、従来の鏡を使うサイドミラーと、カメラとディスプレイを使う電子ミラーを併用する開発中のシステム「CLEARVIEW(クリアビュー)」を展示した。サイドミラーに後側方を撮影するカメラを内蔵し、車内にカメラの映像を投影するディスプレイを置く構成だ。サイドミラー単体では死角になってしまう範囲を補い、後側方の視界を広げる。量産時期は未定だ。

サイドミラーは必要な場所

 クリアビューは、映像に遅延がなく、小型のパッケージングとなっているのが特徴だという。自動車メーカーのモジュール化戦略に対応し、従来のサイドミラーとも置き換えやすいとしている。

 カメラの映像を表示するディスプレイは、視線移動の負担を少なくするとともに、サイドミラーを見る動作の流れで視認できるようにサイドミラーと並べて見ることができる位置に置く。「ディスプレイが小さすぎても良くないし、取り付ける位置も重要になる。車線変更するかどうかは素早い判断が必要なので、視線移動が増えたり、注視しなければならなかったりするのは問題だ」(マグナの説明員)。

 後退時はカメラの映像が下向きになるように自動で切り替える。また、映像では、ミラーには映っていない部分を赤く強調して示す。

左右 実際の車両に搭載した様子。ミラーでは死角になっている範囲を赤く強調している。サイドミラーと横並びにして視認性を確保した(クリックして拡大)

 カメラは、必要な視界を広く撮影するため、サイドミラーの横に取り付けている。北米で人気の高いSUVは車線変更する際に、助手席側の後側方が確認しにくいので肩越しに大きく振り返る必要がある。クリアビューによってそうした負担を軽減する。また、カメラは荒天時に備えたセルフクリーニング機能を搭載している。

 従来のサイドミラーは残す。北米では法規制が整備されていないことも理由だが、ターンシグナルや電動で格納するための機構、ドアを開けた際に足元を照らすライト、サラウンドビュー用のカメラなどを装着するために必要なスペースだというのが要因として大きい。「顧客はこうした機能を失いたくないと考えられるので、サイドミラーは単なる鏡ではなく機能部品を配置する重要なスペースと捉えてこの構成にした」(マグナの説明員)。

 また、同社の説明員は鏡と映像では距離感が異なることも、サイドミラーを残す理由に挙げた。鏡で見ている物体は、実際の位置よりも遠くにあるように感じられるが、映像はさらに距離感がつかみにくくなるためだ。

サイドミラーの有無、どちらが良いのか

 サイドミラーをなくした“ミラーレス車”は、サイドミラーがカメラに置き換わることで、空気抵抗の低減やミラー分の軽量化を図ることができるというメリットがある。また、夜間の視認性向上や、画像認識技術と組み合わせた運転支援など安全面の進化も見込まれる。ミラーレスのコンセプトモデルは多くの自動車メーカーが提案している。

ヴァレオ市光 ヴァレオ(左)やミラーを手掛ける市光工業(右)が開発中の電子ミラー(クリックして拡大)

 これに合わせて法規制も変わった。国連の「車両等の型式認定相互承認協定」では、間接視界に関する協定規則の中でミラーレス車に関する基準を定めた。この協定規則に沿って日本では国土交通省が道路運送車両法を整備してミラーレス車が公道を走ることを認めている。これを受けて、電子ミラーの開発/提案に積極的なサプライヤも目立つ。

 その一方で、サイドミラーは必要だと考えるサプライヤも少なくないようだ。自動車メーカーは電子ミラーのメリットとデメリットを踏まえて、量産モデルへの搭載の是非をどのように判断するのか、注目が集まる。

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