「ソリオ」の独壇場を打ち破れ、トヨタとダイハツが小型ハイトワゴンを新開発:車両デザイン(2/2 ページ)
トヨタ自動車とダイハツ工業は、スズキのAセグメントサイズのハイトワゴン「ソリオ」に対抗するモデルを発売した。両側スライドドアの採用や、室内空間を広く確保したデザインはソリオと共通している。燃費はソリオに軍配が上がるが、トヨタ勢は走りの良さを強みとする。
両側スライドドアは共通、車内の広さは
ソリオは全長が3710mm、全幅が1625mmと5ナンバー規格の上限よりも小さめで、なおかつ両側スライドドアを採用しているという独自性で支持を得てきた。ソリオの対抗馬となるトール/ルーミー/タンクも両側スライドドアを採用している。
外形寸法を見ると、トール/ルーミー/タンクは全長3700×全幅1670×全高1735mmで、全幅はソリオよりもやや大きい。一方、室内寸法をみると、全長は10mmの差でありながら、室内長はソリオの方が300mm以上上回っている。「コンパクトハイトワゴンでトップ」(スズキ)の室内長はスズキが維持した(コンパクトハイトワゴンは排気量1.5l以下、全高1550mm以上の2列シート5ドアワゴンを指す)。室内幅と前後乗員間距離はトール/ルーミー/タンクの方が余裕がある。
安全装備は
安全装備としては、ソリオはステレオカメラを使った「デュアルカメラブレーキサポート」を、トール/ルーミー/タンクは単眼カメラとレーザーレーダー、超音波センサーを組み合わせた「スマートアシストII」を設定する。歩行者検知にも対応した自動ブレーキは、両者のうちスズキのデュアルカメラブレーキサポートだけだ。
デュアルカメラブレーキサポートは、衝突警報機能も含めた自動ブレーキ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報、ふらつき警報、先行車発進お知らせに対応している。
一方、スマートアシストIIは、自動ブレーキや、歩行者と車両を対象にした衝突警報機能、車線逸脱警報機能、誤発進抑制制御機能、先行者発進お知らせ機能に対応しており、この他にも時速40〜108kmまでのクルーズコントロールも可能だ。
ソリオの場合、デュアルカメラブレーキサポートはS-エネチャージ搭載グレードのメーカーアプションとして設定されているが、トール/ルーミー/タンクは一部グレードを除いて標準装備となっている。
それぞれのモデルを比較すると、どちらかが一方的に上回っているということはなく、燃費、外形寸法、室内寸法、安全装備など、一長一短となっている。ソリオのパイをトヨタグループでどれだけ奪えるか、注目が集まる。
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