「見える化」だけでは無価値、製造業IoTが価値を生む3つのポイント:スマートファクトリー(2/2 ページ)
NECのユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」では、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によるモノづくり革新を実現する「NEC Industrial IoT」の進捗状況を紹介。自社実践例も含めてIoTで真に価値を生む3つのポイントについて紹介した。
実証に基づく「効率化」
「効率化」に向けては社内での実証実験を中心とした取り組みを推進。成果が得られたソリューションについては、外販を進めているという状況である。
1つの取り組み例が、異種混合学習技術を活用した補修用部品の在庫削減ソリューションである。同社ではNECフィールディングと協力し、2014年度に1万品目の補修部品の削減に向けた実証実験を実施。在庫量を約2割削減できたという実験結果を得ている。
異種混合学習技術とは、NECの中央研究所が開発した、ビッグデータに混在するデータ同士の関連性から、多数の規則性を自動で発見し、分析するデータに応じて参照する規則を自動で切り替える技術。これにより、単一の規則性のみを発見し参照する従来の機械学習では分析が困難な、状況に応じて規則性が変化するデータでも、高精度な予測や異常検出が可能となるという。
今回はさらにこれらの取り組みを広げ、NEC内のサーバ製造工場で「部品調達のための3カ月後の製品需要を予測し部品在庫を最適化する」という実証を行い、その結果を示した。実証実験では、社内データの売り上げ実績と社外データであるマクロ経済指標、社会的なイベント情報などを組み合わせて入力し、異種混合学習技術を利用して分析。これにより3カ月後の製品需要を予測した。
「分析技術」「分析効果の定量評価」「業務プロセスの実現可能性」「システムの実現可能性」という4つのポイントを検証し、一定レベルの効果を得ることができたとしている。「主要部品は情報共有を行うのでそれほど情報が外れることはないが、小口のサプライヤーとの取引では大枠での取引となるので、需要予測の精度が上がることで在庫を大きく抑えることが可能になる」(NEC)としている。
その他では、工場内の作業員にビーコンを持たせ、工場内の位置に合わせて作業指示を行うシステムなどを紹介。実装ラインの段取り替えにおいては、生産ラインがストップしている時間を40%削減することに成功したという。また、人手による組み立てラインにおいては、情報を取得するための入力時間や入力ミスなどが多くあったため音声入力システムの実践を行い、作業効率を2割高めることに成功したとしている。こうした一連のソリューションを示すことで「製造業においても、IoTによる真価を得られるように支援していく」(NEC)としている。
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