トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」:車載情報機器(3/4 ページ)
トヨタ自動車は、東京都内で会見を開き、同社のコネクテッド戦略を説明。2016年4月に新たに発足したコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める専務役員の友山茂樹氏は「IoT時代の新しい製造業の在り方を切り開くため、モビリティサービスのプラットフォーマーになる」と強調した。
第3の矢「新たなモビリティサービスの創出」
そして3本目の矢が「あらゆる異業種、IT企業と連携し『新たなモビリティサービス』を創出」である。トヨタ自動車は、会見前日の2016年10月31日に、ライドシェアやカーシェアといったモビリティサービスを提供するための基盤となる「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の構築を発表している(関連記事:トヨタがカーシェアを推進、車内に専用端末を置くだけで利用可能に)。友山氏は「このMSPFによって、トヨタ自動車はモビリティサービスのプラットフォーマーになる」と宣言した。
その第1歩となるのが、2016年4月に設立した、テレマティクス保険に必要なソリューションを提供する新会社「トヨタ インシュランス マネジメントソリューションズUSA(TIMS)」である(関連記事:トヨタが米国でテレマティクス保険、人工知能の活用も視野に)。テレマティクス連動保険は、将来的に自動車保険の40%を占めるようになるという調査もある。TIMSのソリューションを使えば、どの保険会社でも容易にテレマティクス連動保険を提供できるようになるという。
さらにライドシェア事業者との提携を容易にする「フレキシブルリースプログラム」を開発した。同プログラムは、トヨタ車のオーナーがライドシェアのドライバーとして得た収入から、月々のリース料金を回収するというもの。2016年12月から、ライドシェア大手のUber Technologiesと共同で、米国内でパイロットサービスを始める(関連記事:トヨタが海外でライドシェアに乗り出す、Uberに出資)。
友山氏は「米国ではライドシェアだけでなくカーシェアも進んでいる。2030年にはユーザー数は1000万人に達するという調査もある」とし、カーシェアに関する施策も進めていることを明らかにした。
カーシェアの課題となっているのが鍵の受け渡しである。利用者と車両の所有者がコンソールボックス内に鍵を置くなどして受け渡しを行ったり、車両制御系のネットワークであるCAN(Controller Area Network)に特殊な通信装置を直接接続することで鍵の開閉などを行ったりしているが、改造コストや品質、セキュリティ面で問題がある。
そこでトヨタ自動車が開発したのが「スマートキーボックス(SKB)」である。SKBを使えば、車両を改造することなく、所有者が端末を車内に設置するだけで、利用者は自身のスマートフォンで鍵の開閉、エンジン始動ができるようになり、安心かつ安全に車両の貸し借りを行える。
このSKBを用いたパイロットサービスを、米国ベンチャーのGetaroundと共同で2017年1月に始める。国内では、グループ会社のトヨタレンタリースを通して実施することも検討している。
なお、国内タクシー事業者と連携も強化している(関連記事:トヨタが自動運転タクシーを開発へ、「タクシーの日」に協業発表)。タクシー車両の多くがトヨタ車であることを考えれば、モビリティサービスのプラットフォーマーとして、国内タクシー事業者を重視しないわけにはいかないからだ。
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