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情報システムの導入はバランスが大事
情報システムといえば、設計、開発の部署で言えばPDMシステムなどになると思いますが、その導入検討にあたってはトップダウンの方針とボトムアップの改善のバランスが特に難しいと感じます。
さらに、導入から稼働までの道のりで考えてみても、以下の理由でうまくいかないケースが多く、非常に険しい道のりのように感じます。
- A:トップダウンの方針をくみ取れないと計画からなかなか進まず、導入にこぎつけない。
- B:ボトムアップの改善が見込めないと、導入しても利用者の協力が十分得られず進まない。
先日、ある会社から「PDMの導入を検討したいので相談にのってほしい」との連絡がありました。
後日訪問し状況を聞いてみると、社内人事でトップがかわり、そのTOPの指示でIT資産の統廃合の検討を行いはじめているとのこと。トップの指示に基づき各部門は方針を立てて具体的な活動を決めていく……このようなことは当たり前なのですが、このお客さまのおかれている状況は「A」に近いものでした。
通常、こういったトップダウンの指示による導入のケースは、情報化推進担当部門にとってありがたい話なのですが、安易に導入検討を進めると今度は「B」のような状況に置かれてしまいます。
私の経験上、こうならないために必要なことは導入検討における次の2点だと考えます。
- トップダウンの方針(経営方針、部門方針など)に基づいて検討を進めているか?
- その方針とボトムアップの改善の関連付け、が整理されているか?
トップの“指示”と言うだけで、方針を加味せずボトムアップの要求で進めてしまうケースが結構あります。その場合にまず困るのが、トップへの導入効果の報告。この場合、方針に対する具現化策とその投資対効果を考慮して進めていることが重要です。
次に、方針、情報システムの導入目的を掲げて説得しても、ボトムアップの改善もなければうまくいきません。業務プロセスの改善を行う、使い勝手をよくする、など、さまざまな策がありますが、これらは外部、つまりわれわれのようなものが介入し、客観的なアドバイスをするようなご支援が必要なのかもしれません。
少し長くなりましたが、「トップダウンの方針」と「ボトムアップの改善」のバランスがうまく取れた会社は、やはりうまくいっているようです。
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