IoTとインダストリー4.0分野において戦略的パートナーシップを締結:製造業IoT
SAP SEとRobert Boschは、IoT(モノのインターネット)とインダストリー4.0の分野で戦略的パートナーシップを結んだと発表した。この提携により、両社はクラウド技術とソフトウェアソリューションでの協業を拡大していく。
SAP SE(SAP)とRobert Bosch(ボッシュ)は2016年9月21日、IoT(モノのインターネット)とインダストリー4.0の分野で戦略的パートナーシップを結んだと発表した。この提携により、両社はクラウド技術とソフトウェアソリューションでの協業を拡大していくという。
まず、IoTアプリケーションの大量のデータをリアルタイム処理するために、処理速度が速いSAP HANAデータベースをBosch IoT Cloudで使用できるようにする。また、将来的にソフトウェアとクラウド技術の統合に取り組み、さまざまなデバイスやコンポーネントを接続するため、BoschのIoTマイクロサービスをSAP HANA Cloud Platform上で利用できるようにする計画だ。オープンなプラットフォームで、車両や製造機械が安全で効率的につながるような仕組みを目指す。
さらに両社は、IoTとインダストリー4.0を広く導入するには標準化が必要であるとし、インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)とプラットフォームインダストリー4.0との密な連携を支援すると表明した。パートナーと協力しながら、共同のテストベッドによる実地検証や、センサー、機械、ソフトウェア、およびクラウド技術の相互作用をテストするなどして、標準化された環境を構築する。
両社の協働の具体例として、フォークリフトの位置情報を利用した管理システムがある。Boschが創設したスタートアップ企業であるZeno Trackが、カメラ、GPS、レーザースキャナー、無線、ネットワークにつなげたモーションセンサーを使ってフォークリフトの位置を特定。このデータはBosch IoT Cloud経由でSAPの全車両管理システムSAP Vehicle Insightsに転送され、車両の移送指示やメンテナンスの計画・実施を最適に管理する。
今後両社は、自動運転とコネクテッドドライブなどの領域においてもソリューション開発を進めるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 脱“指示待ち”へ、エッジが自律する完全自動化ラインを出展したSAP
SAPは、ハノーバーメッセ2016において、個別のデザインのキーホルダーを完全自動生産するデモラインを出展。産業用ロボットなど汎用製品の組み合わせで実現した他、MESの指示を毎回取得するのではなくエッジを完全に自律化させ、高速作業が可能となった様子を示した。 - SAPはインダストリー4.0でどういう役割を果たすのか
ドイツが国家プロジェクトとして取り組むモノづくり革新「インダストリー4.0」。そのバックボーンとなるITシステムで研究の中心的な役割を担っているのがドイツのSAPだ。同社でインダストリー4.0および、IoT(モノのインターネット)への取り組みを統括するIoT市場戦略共同責任者であるニルス・ハーツバーグ氏に話を聞いた。 - モノづくりIT化の基礎情報ガイダンス
そろそろモノづくりの仕組みをIT化しないとマズイ! そんな危機感はありつつも、どこからどう手を付けたらいいのか、自社の戦略とマッチした製品は何か、などなど、謎だらけだ。セールストークにだまされた気分にならないためにも、事前にしっかり準備しておこう。 - SAPが初のウェアラブル端末用アプリを提供、倉庫のピッキングや機械保守を支援
SAPジャパンは、ウェアラブル端末の利用を実現するための拡張現実(AR)モバイルアプリケーションを新たに提供することを発表した。 - 13の力を1つの大きな力に――総合力発揮のために旭化成が選んだERPシステム統合
「1つの旭化成」を実現するために13あったERPを1つに統合することを選んだ――。SAPジャパンのユーザーイベント「SAP Forum Tokyo」では、旭化成が現在進行中のERPの統合プロジェクトについて紹介した。