加速するスマート工場、DMG森精機はパートナーにマイクロソフトを選ぶ:スマートファクトリー(3/3 ページ)
DMG森精機と日本マイクロソフトは、工作機械を中心とする制御システムセキュリティと、スマートファクトリー実現に向けて、技術提携を行うと発表した。
2017年秋には協業製品が登場予定
両社の協業の成果については「早ければ2017年春から順次展開していく」と森氏は述べる。
「遠隔監視サービスを海外で使いたいというような声は既に多くの顧客から受けている。こうしたニーズに対応しつつ、セキュリティを確保した製品やサービスを順次展開していく。また、従来はこうした『つながり』による新しい機能を利用できなかった古い機器でもこうしたサービスが受けられるような『つながるデバイス』を協業により開発し、2017年秋の欧州の展示会で公開する」と森氏は語っている。
プラットフォーマーとしての展開には慎重
スマート工場の動きの中では、工場内のデバイス技術や製造工程におけるノウハウにICT関連の分析技術や通信技術などを組み合わせて提供するプラットフォーム化の動きが広がりを見せている。例えばファナックは、米国のCisco Systems、Rockwell Automation、Preferred NetworksおよびNTTグループ3社と協業しスマート工場のプラットフォーム「FIELD system」を発表。パートナー企業を募りエコシステムとして展開していく方針を示している※)。
※)関連記事:IoTによる「自律工場」へ加速するファナック、NTTグループとも提携へ
実は、DMG森精機はこのファナックの「FIELD system」のパートナーにもなっているが「FIELD systemのパートナーとしての取り組みは工場の生産ラインなどを構築するインテグレーター部門としての立場であり、今回の工作機械を中心とした取り組みとは異なる。インテグレーター部門としては、自社製品や他社製品に関係なく、顧客の要求に最適な工場を作り上げることを目指す」(森氏)としている。
プラットフォームのオープン化についても「今回の契約は排他的なものではないが、マイクロソフトと2社で作り上げたものを他社にも展開するということはあり得るが、最初からオープン化するようなことは考えていない」(森氏)としている。
関連キーワード
Microsoft | IoT | 工場 | Internet of Things | プラットフォーム | スマートファクトリー | インダストリー4.0 | オープンイノベーション
関連記事
- 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。 - 世界1位の工作機械メーカーが目指すインダストリー4.0
ドイツの国家プロジェクトである「インダストリー4.0」を筆頭に、世界で生産革新への取り組みが進んでいる。こうした動きを、工作機械の世界シェアトップで、“日独連合”企業であるDMG森精機はどう捉えているのか。DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏が同社の経営戦略について語った。 - 工作機械にタッチパネル操作を! CELOSで操作性と生産性を高めるDMG森精機
DMG森精機は「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」において、独自のオペレーティングシステム「CELOS」で操作性を一新した多彩な工作機械ラインアップを紹介した。 - 足し引き自在で効果は無限大! 金属3Dプリンタと切削加工の複合機投入が本格化
「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」で大きな見どころの1つとなったのが、工作機械と金属3Dプリンタの複合機だ。金属を「足す」3Dプリンタと金属を「引く」切削加工機が組み合わさることでモノづくり現場にどういう価値をもたらすのだろうか。 - 製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ
ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - 第4次産業革命って結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第1回目はそもそもの「第4次産業革命とは何か」を紹介します。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.