製造業に押し寄せるIoT活用の波、日立が第4次産業革命で抱える強みとは:製造業IoT(3/3 ページ)
IoTの活用などを含む第4次産業革命が大きな製造業にも大きな変化の波が訪れている。その中で日立製作所は新たなIoT基盤「Lumada」をリリース。大手企業の中では後発ともいえるが、同社は勝負のカギとして「OT」を挙げる。OTを担当する制御プラットフォーム統括本部にその強さを聞いた。
OTを中心とした産業や現場環境の豊富なノウハウ
このソリューションコアの開発に大きな力を発揮しているのが、日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部(以下大みか事業所)であるという。大みか事業所は、電力や鉄道、鉄鋼、上下水道などの重要インフラにおける「制御」領域を担ってきたOTを中心とした拠点で、さまざなな産業領域における現場環境についてのノウハウを持っている。
もともと大みか事業所は、1969年に日立工場と国分工場の制御部門が集まって創立された制御に特化した事業所である。その後、日立における総合システム工場として重要インフラを支えるシステム基盤の提供を行ってきた。例えば、大きなものとして鉄道の運行システムなどがある。その他、鉄鋼工場のシステムやスマートグリッド実証など、国内外で多くの導入実績を持ち、高信頼化技術など、制御に対するノウハウや知見を蓄積してきた。
大みか事業所では、さらに顧客のシステムを再現し試験を実施するシステムシミュレーションテスト(SST)設備も事業所内に整備しており、各種シミュレーターの活用などで現地に近い形でシステム検証を行えるようにしていることなども特徴だ。重要インフラなどの大規模制御システムとなると最終的には顧客の業務プロセスに合わせたカスタムが必須となり、「顧客とともに作り上げる」という仕組みや姿勢が必要になる。
日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 制御プラットフォーム開発部 部長の松本一人氏は「大みか事業所では、制御と運用を顧客企業とともに作り上げてきた歴史がある。従来切り離されていた制御システムと情報システムが融合する中、従来の制御や運用にITを組み合わせて新たな価値を示すことができる」と述べている。
Lumadaは成果報酬型のサービスモデルとして展開
こうしたノウハウを生かし、日立はLumadaの展開としてサービス型のビジネスモデルを取る方針だという。「顧客のKPI(重要業績評価指標)を定めそれに対してどれだけ達成したかという成果報酬型の提供も計画している。継続的に関係を維持していくことで、顧客の課題を共有しそれらを解決し続けることで価値を示していきたい」と北川氏は述べている。
制御の領域では、「顧客とともに作り上げる」という強みで多くの実績を築いてきたが、IoTの領域でも継続的なパートナーシップの構築により、顧客の求める価値を実現していく方針である。
日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 経営戦略本部 担当本部長の北川央樹氏(右)と、同統括本部 制御プラットフォーム開発部 部長の松本一人氏(中央)と、同統括本部 技術部 部長の田村光男氏(左)
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