製造業に押し寄せるIoT活用の波、日立が第4次産業革命で抱える強みとは:製造業IoT(2/3 ページ)
IoTの活用などを含む第4次産業革命が大きな製造業にも大きな変化の波が訪れている。その中で日立製作所は新たなIoT基盤「Lumada」をリリース。大手企業の中では後発ともいえるが、同社は勝負のカギとして「OT」を挙げる。OTを担当する制御プラットフォーム統括本部にその強さを聞いた。
日立製作所グループの事業の知見を織り込んで提供
もう1つが、幅広い事業を抱える日立グループのノウハウを含めた形で提供できることである。日立では、電力やエネルギー、産業、流通、都市、金融、公共、ヘルスケアなど多岐にわたる事業領域を保有している。これらの自社グループ内でまずIoTについても実践を進め、そこで得られたノウハウを成功事例としてテンプレート(サンプルとなる標準的な枠組み)化することで、成果を得やすくする(図2)。
「成功のカタチ」をモデル化して提供
テンプレートの作成に向けて、それぞれの事業課題を解決する技術的なひな型として開発するのが「ソリューションコア」である。それぞれのテンプレートに応じて、最適な形でデータ共有の仕組みや人工知能機能、シミュレーション機能、データレイクなどを組み合わせて技術基盤であるソリューションコアを構築する。
具体的に既にソリューションコアとして開発が進んでいるものとして「予兆保全」がある。予兆保全とは、稼働データを取得し分析し続けることで、故障が発生したり壊れたりする予兆を把握し、壊れる前に保守するような取り組みのことである。日立では、鉄道などの領域で既にノウハウを蓄えているために、これらに必要な最低限の機能を把握できている。この機能を実現する技術をピックアップし、最適な形に組み合わせてソリューションコアを作り上げる。
北川氏は「予兆保全といっても、産業や現場環境などにより、必要とされる機能やデータなどは全て異なってくる。基本的な標準形は用意しつつ、業界や産業などに合わせた標準の形をより多く準備し、できる限り導入時間を短く、効果をすぐに出せるような仕組みを作っていく」と語る。
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