製造業に押し寄せるIoT活用の波、日立が第4次産業革命で抱える強みとは:製造業IoT(1/3 ページ)
IoTの活用などを含む第4次産業革命が大きな製造業にも大きな変化の波が訪れている。その中で日立製作所は新たなIoT基盤「Lumada」をリリース。大手企業の中では後発ともいえるが、同社は勝負のカギとして「OT」を挙げる。OTを担当する制御プラットフォーム統括本部にその強さを聞いた。
インダストリー4.0を含むIoT(Internet of Things、モノのインターネット)による製造業革新の動きが広がりを見せている。「第4次産業革命」や「Soceity 5.0」ともいわれる、産業構造の変曲点を迎える中、製造業にとっても自社の強みを生かしつつ、IoTを含めたIT(情報技術)の活用を進めていくことは必須となりつつある。
しかし、現実的にはこれらの取り組みにはさまざまなハードルが残されている。IoTは従来取れなかった現場情報を取得でき、それを分析し、得られた知見を現場にフィードバックできる「CPS(サイバーフィジカルシステム)の実現」が価値となる。しかし、製造現場では有益なデータを取得できるようなシステム構成にはなっておらず、分析基盤やデータ基盤なども持っていないところが多い。そもそもどういうセンサーのどういうデータを取得すれば、どういう結果が得られるか、という点も分からないという企業も多い。
実現を阻んでいた大きな障害が、ITとOT(制御技術)の壁である。ITがモノや収益性などを「管理」するツールであるのを主目的としていたのに対し、製造現場などで実際に製造装置を最適に動かしたり、コントロールしたりする「稼働・運用する」技術やツールがOTである。ITとOTでは技術だけでなく、文化や言葉、求める情報の粒度なども異なり、従来は相いれないものとして存在していた。ただ、IoTを導入するには、こうした壁を乗り越えなければならない。そしてこの障壁を乗り越えるためには、ITとOTそれぞれの文化や求めるものを把握している必要がある。
IT×OT×プロダクトの強み
この点に勝機を見いだしているのが、ITとOTの強みを併せ持つ日立製作所(以下、日立)だ。IT×OTの強みを生かし、こうしたIoT活用における導入の難しさを吸収し、導入期間の短縮化と効果の最大化を目指すために新たに提供を開始するのが、2016年5月に発表したIoTプラットフォームの「Lumada(ルマーダ)」である。
「Lumada」は、データの統合、分析やシミュレーションから知見を得るソフトウェア技術などで構成される汎用性の高いIoTプラットフォームである。自社内にIT、OT、プロダクトシステム(製品)の3つを抱えていることにより、IoTによって求められるCPSの技術的要素の大半を自社でカバーできる(図1)。
日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 経営戦略本部 担当本部長の北川央樹氏は「IoT基盤を展開し産業のデジタル革新を支援するようなグローバル企業はいくつか存在するが、ITとOT、そしてデータを取得する製品まで保有し、これらを組み合わせて提案できるのは日立だけだ。独自の強みが出せる」と述べている。
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