目指すは解析職人的な解析!:解析エンジニアのつぶやき
顧客を支援する立場としては、職人技のような解析を目指して、的確なアドバイスをしたい! 客先でCAE導入を支援する解析エンジニアのつぶやき。
本記事は、CADを快適な環境で使ってもらうソリューション専門街「CADJapan.com」から転載しています。
製造現場で実際にモノづくりをしている方々の中には、製造過程のさまざまな現象について熟知し、積み重ねた経験や職人的な勘をお持ちの方がいらっしゃいます。そのようなお客さまからは、CAEの導入をお手伝いする解析のエンジニアとして働く中で、製品の製造技術などさまざまなことを教えていただきます。
また、解析の技術者にも、職人のような方はいらっしゃいます。いわば「解析職人」とも呼べるような方々です。実験結果に解析の結果を合わせるため、どんな条件で解析をするのが適しているか、どのパラメーターが結果によく現れてくるか、ということを経験や理論上熟知していて、現実をよく表現できるような人がそれに当たるのだろうと思います。
一方、設計者が設計のために解析を行う場合、求める結果は未知です。精度追求というよりは、相対的な比較ができればそこに十分意味が生まれます。結果が極端な値だった場合など、現実にはありえない値が出た場合に「ありえない」と感じる感覚さえあれば、ブラックボックス的に解析を用いたとしても効果が出る場合が多いようです。
とはいえ、解析でお客さまをお手伝いする立場としては、お客さまにより的確なアドバイスをするために、たくさんの問題に触れ、経験を積んだ職人のようになる必要もあると思います。
解析ソフトでは、「解析職人」の方が経験できないような極端な条件下での解析を行ったり、実験では測定が難しいような値も計算によって確認できます。
これからは、誰もが「解析職人」的な解析を可能にできるよう、そして何より客さまの力に少しでもなれるよう、私も技術を磨いていくつもりです。
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