自動運転実用化時期を前倒した日本、米国とドイツを捕捉できるのか:Autonomous Vehicle and ADAS Japan 2016レポート(4/4 ページ)
「Autonomous Vehicle and ADAS Japan 2016」には自動車メーカーやティア1サプライヤ、地図メーカーが登壇し、参加者の質問にも答えながら講演やパネルディスカッションを行った。2日間にわたるカンファレンスのレポートをお送りする。
日独で地図メーカー対決
同カンファレンス2日目の午後のテクノロジーセッションでは、高精度3次元地図についてドイツのHEREと、トヨタマップマスター/ゼンリン/インクリメントPの日本勢がパネルディスカッションに登場した。会場からは、インターネットを通じてさまざまな質問や意見が投稿され、会場全体が一丸となった議論が繰り広げられた。
日本勢を代表して、ゼンリンは2016年6月に設立した「ダイナミックマップ基盤企画会社」の事業概要を説明した。その上で、日系地図メーカー3社がダイナミックマップにおける「協調領域と差別化要因」についてそれぞれの意見を述べた。だが、収益性を確保できる「明確な差別化事業」を提案した企業はいなかった。
一方で、HEREは自社のHDライブマップがレイヤー別で構成されており、フルスペックからADAS専用まで、用途に応じて取り出せる点を強調。また、同社がセンター クラウド インタフェースと呼ぶシステムが、既に欧州のERTICOで標準化の協議に入っており、日本のダイナミックマップマップとHEREとの「協調」が必然ではないか、と述べた。
社会に必要とされる自動運転とは
今回、2日間のカンファレンスを通じて、度々「社会受容性」という言葉で出てきた。だが、筆者の印象では自動車メーカーやティア1サプライヤが言う「社会受容性」は、モノ作りの視点での社会に対する「すり合わせ」に思える。
需要に対しては、仕向け各地で一般人を対象としたアンケート調査を行っているが、現状で一般人の中に自動運転に対する見識が不足しており、そこから得たアンケートデータの信頼性に課題が残ると考えられる。今後は、自動車メーカーやティア1サプライヤは、社会における自動運転の需要を精査することが必要だ。
そして、国連やNHTSAなどによる法整備だけではなく、ヒューマンファクター(人的要因)を優先した、真の意味での「社会に必要な自動運転」の議論が必要だと強く感じた。
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