産総研ベンチャーが双腕ロボで「ピペット奴隷」根絶を狙う(1/2 ページ)
産総研発のロボットベンチャー、ロボティック・バイオロジー・インスティテュートが本格的な事業展開を開始する。「人間が使う実験道具をそのまま使えるロボット」で創薬事業の抜本的な改革を狙う。
産業技術総合研究所(以下、産総研)発のロボットベンチャー、ロボティック・バイオロジー・インスティテュート(以下、RBI)がロボットを導入したバイオ実験施設「ロボティック・バイオロジー・センター」を公開した。
RBIはバイオメディカル作業およびライフサイエンス作業に関するロボット施設の運営、ならびにロボットとその周辺機器の開発・販売・保守などを事業内容とするベンチャー企業。産総研の技術移転ベンチャーとして2015年6月に設立され(技術移転ベンチャーとしての認定は同年7月)、2015年11月には産業用ロボット大手の安川電機が資本参加している。
バイオ産業、特に製薬事業については膨大な実験と試験の繰り返しが必要とされるが、現在は手作業に頼る状況となっており、研究者のリソースを消費する状態が続いている。また、実験と試験は個人の経験とスキル(暗黙知)によるところが多く、再現性の低さも問題視されている。
RBIではロボットと人間の協働による「研究生産性の向上」「研究高度化」を掲げており、その中心として位置付けられているのが産総研と安川電機が共同開発した双腕産業用ヒト型ロボット“LabDroid”「まほろ」だ。
この「まほろ」はバイオメディカル分野における作業の自動化を狙うロボットだが、特定作業のみを行うのではなく、「バイオメディカルの研究者が行っている作業の代替」を目指して開発されている。
実験器具や装置は所定の位置に設置する必要があるものの、ロボット用のそれらではなく、人間用施設や機器を利用できるため、これまでの実験機械化(ロボット化)に比べて導入コストが低く、また、これまで研究者が行っていた実験手法をロボットへ移植(ティーチング)することで、実験技術や経験の可視化と共有も可能とする。
また、ティーチングの際にこれまで「なるべく均等に」「マイルドに」といった曖昧な指示で行われていた作業を数値化することとなるため、個人によらない実験手法の確立も期待される。
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