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家電業界の常識「コモディティ=コストダウンが必須」は本当に正しいのか鈴村道場(3)(4/4 ページ)

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回は、家電業界の経営難と併せて語られることが多い「コモディティ=コストダウンが必須」が本当に正しいかについて解説する。

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まとめ

 どの経営者も「1.新商品に頼る」「2.価格に頼る」は言うが、「3.タイミングに頼る」は言いません。

後補充生産を徹底し、1個1個や小ロットでもすぐに作れる体制を構築する⇒リードタイムの大幅な短縮ができる⇒先着者メリット⇒堅実に利益を拡大することができる

 最後に1つだけ伝えたいことがあります。中国の電子取引の最大手・アリババ集団の経営者であるジャック・マー氏が「『今や中国は世界の工場となった。かつては、日本はモノづくり大国といわれていたが、今は中国の足元にもおよばない』とわれわれは言っているが本当にそうなのだろうか?」「われわれの同胞が日本で爆買いしている電気製品は日本製の炊飯器。日本の炊飯器はまだわれわれの力ではまねできない」と断言しました。

 それはこだわりを捨てないでやり続けたからであると私は思います。「他社よりもうまいご飯を炊こう」。ただそれだけにこだわって商品開発に改善を続けた結果なのです。日本人のこだわりがジャパニーズ品質をつくる。それは間違いではないし、今後も続けていくべきだと私は思います。

 ただし、3のタイミングを重視し、売れるものはレスポンスよく短納期で作り、売れなければピタッとストップする。その緩急自在な生産販売体制を構築することが同じぐらい大事ではないでしょうか?

図4
図4 コモディティ商品を取扱う企業が取り組む経営のポイント(クリックで拡大)

筆者紹介

エフ・ピー・エム研究所 所長
鈴村尚久(すずむら なおひさ)

1976年3月京都大学法学部卒業。1976年4月トヨタ自動車入社。退社後1999年8月にエフ・ピー・エム研究所を設立。トヨタ生産方式のコンサルタントとして、はくばく、ピップフジモト、パナソニック、マルヨシセンターなど多くの企業の生産改善を手掛ける。著書に『トヨタ生産方式の逆襲』(文春新書)。父・鈴村喜久男氏(故人)は「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一氏の側近として知られる


筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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