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家電業界の常識「コモディティ=コストダウンが必須」は本当に正しいのか鈴村道場(3)(3/4 ページ)

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回は、家電業界の経営難と併せて語られることが多い「コモディティ=コストダウンが必須」が本当に正しいかについて解説する。

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タイミングで売る経営手法の例

 私がタイミングを武器に販売する経営手法を取り入れて成功した例について幾つか説明します。

産業用車両(フォークリフト類)のサービス用バッテリー製造販売の例

 フォークリフトのサービス用のバッテリーは、故障した時に取り換え用で使用する目的でメーカーの販売店が取り寄せて販売するものです。そのバッテリーメーカーは100種類以上のバッテリーを扱っていました。その中には現在量産している物も、過去に量産でしていて現在は販売していない物も両方が含まれています。

 正に多品種少量であり、いつどこで注文がくるか誰も予測できません。私が指導する前は注文が来た時が勝負で、在庫があれば3日。在庫がないと特急で2〜3週間は最低でも必要でした。そこで注文を受けたらどんな商品も在庫がなくても3日以内に納品しようと取り組みました。

 まずバッテリーメーカーの工場の人達からは「内示をもとに製造しているため、無理だ」と言われました。バッテリーアッシーの規格は縦、横、高さの寸法だけでなく、重量も規定されています。鉄箱はフォークリフトメーカーの規格で作られていて、ボルト、アンペアの条件を満たして作ることを要求されます。鉄箱は鉄箱メーカーから買って、単セルを結線してバッテリーアッシーとしてフォークリフトメーカーから販売店に売ります。

 顧客からは(補給品なので)今使っているものと同等品をくれと要求されます。通常は現行品と同じメーカーの同じ規格品を買います。でも本当に急いでいる場合は、別のメーカーであっても同一規格品であれば買ってもらえます。バッテリーの部品を分解していくと鉄箱、セルの供給が円滑にできれば受注生産が可能と判断しました。

 そこで後補充の仕組みを徹底して導入をしました。1年後には3日後までに納入できるようになりました。さらに自分たちで改善を重ねて3時間で納品できるようになりました。「朝注文すれば夕方届く」ということが評判になりました。

 また業界構造上、量産品についているメーカーをサービス用でも指定していましたが、メーカー指定でなく規格で購入する方法にディーラーが自主的に動き始めました。ディーラーは「電池が動かなくなっているのですぐに入るなら、同一規格であれば他社でも良い」とお客からも言われたそうです。

 そうなると短納期で他社と圧倒的に差別化を図ることができ面白いように売れました。

 産業車両の営業マンも客先ですぐに必要だと判断した場合にはその短納期の会社の製品を勧めるようにしました。その会社には3日でできると言い切るように指導しました。

 その結果、シェアが数%だった産業車両のサービス用のバッテリーがたくさん売れたおかげで大幅な増益になりました。サービス用のバッテリーの価格は新車よりも高めに設定されていたからです。

図3
図3 タイミングで売る経営手法の例(クリックで拡大)

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