スポーティーな小型車はブルーグリーン、SUVにはドロドロしたこってり系:車両デザイン(2/2 ページ)
2〜3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワードになりそうだ。BASFが発表した2016年の自動車のカラートレンドの予測では、「バーチャルとリアル」のような画一的ではない世相を反映し、「人工的なメタリックとナチュラルカラー」といった多面的な色の系統や、見る角度によって色彩が変わるという多面的な色彩に注目が集まるという。
特徴となるボディーカラーを模索する自動車メーカー
BASFジャパンの説明員は、自動車メーカーがブランドの個性を表すボディーカラーにこだわり始めたと話す。代表例はマツダの新世代商品群だという。購入者の好みが分かれやすい赤色が、幅広いセグメントで車体色に設定されるのは珍しい。「ソウルレッド・プレミアムメタリックは、マツダを示す色として認知された。マツダ以外の自動車メーカーも、特徴的な目立つ色を模索しているようだ」(同社の説明員)。
マツダはさらに、金属のような質感を追求した「マシーングレー」もブランドを象徴とするボディーカラーに位置付けようとしている。ソウルレッド用の塗装技術を応用して「鉄から削り出したかのようなリアルな金属質感」(マツダ)を実現したという。
トヨタ自動車の最近の新型車も、「世界初」(トヨタ自動車)だという珍しいボディーカラーを採用している。2015年12月発売のハイブリッド車「プリウス」には、フレッシュさと先進性を与える狙いの「サーモテクトライムグリーン」を設定した。
サーモテクトライムグリーンは従来のボディーカラーと同じ塗装工程だが、着色層にカーボンブラックを含まない塗料を採用することで、車体表面温度の上昇を抑える。従来の塗料によるグリーンと比較して、表面温度が5度低くなるとしている。
トヨタ自動車のミニバン「シエンタ」に設定された「エアーイエロー」もサーモテクトライムグリーンのように街中で目立つ色だ。一目見てシエンタだと見分けることができる。
自動車メーカーがボディーカラーでブランドを表現するようになると、こうした独特な色のラインアップが増えていきそうだ。BASFは自動車メーカーの動向に対応して、顔料や塗装の手法など幅広くとりそろえていく方針である。
クルマのボディーカラーはリセールバリューを考えると白/黒/シルバーなど無難な色を選びたくなる。しかし、2〜3年後には定番色にもさまざまな個性が生まれ、個性的な色はさらにバリエーション豊かに発展していきそうだ。
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