“ゴムライク”じゃない、3Dプリンタでシリコーンゴムの出力が可能に:DMS2016
キーエンスは、「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS2016)」において、同社の3Dプリンタ「アジリスタ」の新たな材料として加わる予定のシリコーンゴムを使った出力サンプルを多数展示した。
キーエンスは、「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS2016)」(2016年6月22〜24日、東京ビッグサイト)において、同社の3Dプリンタ「アジリスタ」の新たな材料として加わる予定のシリコーンゴムを使った出力サンプルを多数展示した。2016年内の正式発売を目標に開発と評価を進めている段階だという。
従来、3Dプリンタの材料には、ゴムのような“ゴムライク”樹脂はあってもゴムそのものを利用することはできなかった。今回キーエンスは、材料メーカーと共同開発することにより、耐熱/耐候性に優れるシリコーンゴムを使った3Dプリント出力を実現した。
このシリコーンゴム材料と水溶性サポート材を組み合わせれば、薄肉で中空の構造を破損することなく造形できる。「例えば、アジリスタとシリコーンゴムの組み合わせなら医療用の臓器サンプルを極めて高い再現性で作れる。薄肉の中空構造によって食道や気管、血管を模すこともできるので、手術前の術式確認用に最適だ。殺菌/滅菌に用いるオートグレーブ(2気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、20分間処理)に耐える特性も医療用途で役立つ」(同社の説明員)という。
アジリスタはインクジェット方式を採用しており、15μmの積層ピッチによる高精細な造形を特徴とする。本体価格498万円での装置販売も行っているが、初回の材料や保守費用などを含めた月額13万6000円のリースが好評だ。
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