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世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト(5/5 ページ)

人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。

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 Preferred Networksが発表した、ディープラーニングを利用した異常検知という応用もあります。工場の稼働率を保つために工場機器のモニタリングは重要ですが、複数のセンサー情報から異常を検知したり、いつ機器が壊れるかを予想したりするのは非常に難しいタスクです。

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図 12 Preferred Networks(「NVIDIA Deep Learning Day 2016 Spring」講演資料より)

 従来は、この分野の専門的な見識をもつ専門家がその見識・経験に頼って手で検知アルゴリズムを組み立てていましたが、これにディープラーニングを適用して自動で異常検知するアルゴリズムを学び取らせてしまうというものです。結果、従来の手法では直前にしか分からなかった故障予測がディープラーニングを利用することで40日前に分かるようになるという成果があがりました。

 あらゆるもののIoT化が進むにつれ、それらの機器から生成されるデータもビッグデータの一部をなし、どのようにその膨大なデータを解析するのか、ということが課題になります。場合によっては大量にデプロイされるIoT機器からの生成されるビッグデータは、それぞれごとに人が処理するアルゴリズムを組んでいくことが難しいので、ここでもディープラーニングの活用が期待されます。

幅広い産業分野での活用が始まるディープラーニング

 人工知能の進化を進めるディープラーニングの特性とその応用例を見てきました。ディープラーニングは、ビッグデータと研究が進むモデル、そしてそれらを処理可能な計算能力を利用して、従来専門家が時間をかけてチューニングしてひとずつ作りあげるアルゴリズムをしのぐ性能と汎用性を実現する、新しいコンピューティングモデルといえるものだということを理解してもらえたと思います。

 ディープラーニングの技術は、サーバ上やピュアなIT業界にその活用範囲が限られるわけではなく、幅広い産業に適用可能なものです。既に製造業でも紹介したような活用・検討が始まっています。サーバ上で既に起こっているようなディープラーニングを利用した新しいサービスの登場や従来手法では不可能だったことが実現されるようなことが、今後どんどん起こるかもしれません。ディープラーニングの技術の進化とその適用は、今後も目が離せないトピックになるでしょう。

執筆者プロフィール

矢戸 知得

2005年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校のコンピューター工学科を卒業後、ソニー株式会社に入社。GPSカーナビゲーションシステムやタブレットの組み込み開発に携わった後、ソニー・コンピューターエンターテインメントにて家庭用ゲーム機の周辺機器の商品企画を担当する。2013年にNVIDIAに入社。現在、テクニカルマーケティングエンジニアとしてNVIDIAの技術や取り組みについて周知する活動やトレーニングなどの活動に従事。


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