ビッグデータなどを高速照合するデータ処理技術を開発:製造ITニュース
東芝は、ビッグデータなどを高速照合するデータ処理技術を開発した。人物の顔や売り上げデータなどを高次元ベクトルで表現し、あらかじめ類似のベクトル群を索引化しておくことで高速照合が可能になった。
東芝は2016年5月25日、ビッグデータや大規模なメディアデータを高速照合するデータ処理技術を開発したと発表した。
この技術は、人物の顔や売り上げデータなどを高次元ベクトルで表現し、あらかじめ類似のベクトル群を索引化しておくことで高速照合を可能にするものだ。ベクトル間の距離をなるべく維持したまま圧縮する「ベクトル符号技術」と、ベクトル間の距離を計算せずに距離が比較的近いベクトル群をあらかじめ索引化する「ベクトル索引技術」、粗い検索と細かい検索を段階的に組み合わせる「パイプライン検索技術」の3つの技術を連携させて高性能化・高速化を図っている。1000万件の人物の顔画像データから特定の人物を抽出する実験では、従来の技術と比較して、約50倍の8.31ミリ秒(1ミリ秒=1/1000秒)で処理を完了することができた。
同社は、この高次元ベクトル高速照合技術を3つの分野を中心に活用していく。大量の映像データから人物などを照合する「パターンマイニング」(類似パターンの検索)、空港での国際手配者の検知などに使われる「メディア認識の強化」「ビッグデータ分析」だ。
さらに、同技術をディープラーニングに応用しAI(人工知能)の精度向上につなげるなど適用領域を拡大していくという。また、同社のビッグデータ向けスケールアウト型データベース「GridDB」に同技術を組み合わせ、高次元ベクトル照合に対応したデータベースを2016年度中に製品化する予定だ。
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