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東芝が「SCiB」を車載用に展開、2次利用による価格低減も視野(1/2 ページ)

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 東芝は、負極材料にチタン酸リチウム(LTO)を用いたリチウム(Li)イオン電池「SCiB」の車載向け展開を推進、ハイブリッド車用と電気自動車用、それぞれ専用の電池セルを開発した。ハイブリッド車用についてはすでに評価活動を開始しており、電気自動車用は2009年秋からサンプル出荷を開始する。さらに、電気自動車用については、電池セルを家庭用蓄電池などに2次利用するビジネスモデルを構築することで、大幅な価格低減を目指す。

試作電池パックで成果を確認

 SCiBは、東芝が2007年12月に発表した産業機器向けのLiイオン電池である。5分間の充電で全容量の90%まで充電できる急速充電性能や、充放電を6000サイクル行っても初期の90%以上の容量を維持する長寿命性能を備えることを特徴としている。

 SCiBの標準セルの仕様は、形状が角型、公称電圧が2.4V、公称容量が4.2Ah、サイズが62mm×95mm×13mm、重量が155g。そして、電池が出力できる電流量の指標とされる出力密度は1000W/kg以上、重量当たりの蓄電量の指標となるエネルギー密度は約65Wh/kgである。

図1 「SCiB」の開発ロードマップ(提供:東芝)
図1 「SCiB」の開発ロードマップ(提供:東芝) 

 東芝が開発を進める車載用SCiBでは、この標準セルを基に、ハイブリッド車用セルでは出力密度を、電気自動車用セルではエネルギー密度を向上することに重点が置かれている(図1)。

 ハイブリッド車用セルの仕様は、公称電圧が2.5V、サイズが約62mm×95mm×14mm、重量が156gで、標準セルとほぼ変わらない。しかし、出力密度は、標準セルの約4倍の3900W/kgと、ハイブリッド車に求められる3000W/kg以上という値をクリアした。一方、公称容量は3.3Ah、エネルギー密度は53Wh/kg程度となっている。

 このハイブリッド車用セルで、市販のハイブリッド車のニッケル水素電池パックを置き換えた場合の性能について実験を行うために、東芝は電池パックの試作を行った。置き換え前のニッケル水素電池を用いた電池パックは、公称電圧が225Vである。そこで、試作した電池パックでは、ハイブリッド車用のSCiB電池セルを90個直列で接続することにより、225Vの公称電圧を実現した。電池パックのサイズ240mm×570mm×150mmで、重量は19kgとなった。これらの数字は、置き換え前の電池パックに比べて容積、重量とも約1/2となっている。さらに、出力密度は2.5倍以上の1500W/kg、有効エネルギー密度は5倍以上の約28Wh/kgまで向上した。

 一方、電気自動車用セルの公称容量は20Ah、そして電気自動車で高い性能が求められるエネルギー密度は標準セル比で約1.5倍となる約100Wh/kgを達成している。公称電圧がハイブリッド車用セルと同じ2.5Vであるとすれば、セルの重量は約500gになると見られる。また、出力密度については、標準セルと同じ1000W/kg以上を維持した。さらに、エネルギー密度を150Wh/kgまで向上した電池セルも開発中である。

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