2050年に内燃機関をゼロにするには、充電インフラのさらなる充実が必要:電気自動車(2/2 ページ)
CHAdeMO協議会は、第6回総会を開催した。2016年度から同会は一般社団法人として法人格を取得し、活動の幅を広げていく。大出力タイプの急速充電器の仕様策定や、中国やインドなど新興国での急速充電器の導入/普及を支援するといった重点課題に取り組む。また、規格の主導権を争ってきたCombined Charging System(コンボ)との連携も図る。
2050年には内燃機関のクルマをゼロに
志賀氏は、“気温の上昇を産業革命前と比較して1.5度未満に抑える”という2015年開催の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の努力目標に言及した。
「1.5度未満に気温上昇を抑えるには、内燃機関で走るクルマはゼロにしなくてはならない。そのためには電気自動車やプラグインハイブリッドが普及する必要がある。しかし、充電器の規格を自動車メーカーがバラバラに決めるのではユーザーの利便性を損なう」と規格争いの無意味さを述べた。
電気自動車とプラグインハイブリッド車の普及拡大が進む市場に向けては、CHAdeMOのノウハウを活用して充電インフラの整備を支援する。この取り組みは、CHAdeMO規格を採用するよう働きかける目的ではない。
普及拡大が進む市場として、北米や中国、インドなどを挙げている。電気自動車/プラグインハイブリッド車は日本での売れ行きは低調だが、2015年は北米では約12万台、中国では20万台が販売された。中国は前年比で約4倍に伸長している。
北米と中国に加え、インドなど新興国市場では電気自動車/プラグインハイブリッド車の普及に合わせた充電インフラの整備が課題となっていく点をにらみ、CHAdeMOの技術と知見を活用した支援を強化する。
具体的には、北米ではIEEEと協力して認証制度の確立を支援していく。中国には既に規格が存在するため、CHAdeMO普及のノウハウで充電インフラの整備を後押しする。また、インドでは充電器の仕様が定まっていないため、啓発活動からスタートさせる。海外には出先機関を設けず、出張ベースで対応する。
コンボとの争いにも終止符
CHAdeMO協議会は、これまで規格争いを繰り広げてきたCombined Charging System(コンボ)との連携も進める。電気自動車/プラグインハイブリッド車のグローバルでの普及を見据えて、コンボの普及推進団体CharINと協力体制をつくる。
“連携”の形としては「統一の仕様を持てれば最良だが、最低でも充電インフラの充実に力を貸し合えるようにする。2030年に向けてどのように連携するか、ビジョンを共有しようとしている段階だ」(CHAdeMO協議会 事務局長の吉田誠氏)。
CHAdeMO協議会とCharINは、充電器の高出力化やワイヤレス給電など技術面での協力も模索しているという。
関連記事
- 日本発のEV用急速充電規格「チャデモ」はなぜ国際標準になれたのか
2014年4月開催のIEC(国際電気標準会議)で、電気自動車(EV)用急速充電規格の国際標準として、日本発のCHAdeMO(チャデモ)がついに承認された。チャデモはなぜ国際標準になり得たのか。そのプロセスはどうだったのか。関係者に聞いた。 - CHAdeMO対抗の充電規格を米独8社が発表、1個のコネクタで普通/急速充電が可能に
GM、フォード、クライスラー、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェといった米国とドイツの大手自動車メーカー8社が、電気自動車(EV)の充電システムの新規格「Combined Charging System」を発表した。国内自動車メーカーが推進するEV用急速充電システム向けのCHAdeMO(チャデモ)規格に対抗するもので、1個の充電コネクタで普通充電と急速充電の両方を行えることを特徴とする。 - フォルクスワーゲンが日本市場でEVを発売、CHAdeMOの急速充電コネクタ搭載
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、日本市場で電気自動車(EV)を発売する。第1弾は小型車「up!」をベースとする「e-up!(イー・アップ!)」で、2015年2月1日から受注を開始し、同年半ばに納車する予定。税込み価格は366万9000円である。第2弾は、2015年半ばに受注を開始する、「ゴルフ」ベースのEV「e-Golf」である。 - テスラのEV「モデルS」、国内販売モデルはCHAdeMO方式の急速充電に対応へ
電気自動車(EV)ベンチャーのTesla Motors(テスラ)は、セダンタイプのEV「Model S(モデルS)」の日本国内販売モデルについて、CHAdeMO方式の急速充電に対応させる方針を明らかにした。テスラの独自形状の充電コネクタと、CHAdeMO方式の急速充電コネクタをつなぐ変換アダプタを用いる予定だ。 - 電気自動車「e-Golf」の国内投入が延期、チャデモ対応がネックに
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、「ゴルフ」をベースとする電気自動車「e-Golf」の国内市場投入を延期する。同社は2015年2月から、小型車「up!」をベースとする電気自動車「e-up!」の受注を開始。第2弾となるe-Golfは、2015年半ばに受注を始める予定だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.