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車載カメラの信号と電源を重畳するPoCに最適、TDKがインダクタを新開発:人とくるまのテクノロジー展2016
TDKは、「人とくるまのテクノロジー展2016」において、車載カメラの映像データ伝送と電力供給と1本の同軸ケーブルで行うLVDSのPoC(Power over Coax)向けに、小型化と省スペース化が可能な電源インダクタ「ADL3225」を展示した。
TDKは、「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25〜27日、パシフィコ横浜)において、車載カメラの映像データ伝送と電力供給と1本の同軸ケーブルで行うLVDSのPoC(Power over Coax)向けに、小型化と省スペース化が可能な電源インダクタ「ADL3225」を展示した。2016年4月から量産している製品だ。
車載カメラのHD化が進展している中で、映像データの伝送に用いる方式としてLVDSと車載イーサネットが注目されている、これらのうちLVDSについては、1本の同軸ケーブルに信号と電源を重畳させるPoCの適用が広がりつつある。PoCにすることで、ワイヤーハーネスを信号と電源の2本から1本に減らせるからだ。
しかしPoCを適用する場合、最終的な信号と電源の分離にインダクタが必要になる。その場合、高インダクタンスのインダクタと低インダクタンスのインダクタなど複数のインダクタを直列接続で用いることが多かった。ADL3225は、これら複数のインダクタによる信号と電源を分離する機能を1個の部品で実現する。
TDKの電源インダクタ「ADL3225」(左)。LVDSのPoCでは最終的な信号と電源の分離に複数のインダクタを使用していたが、ADL3225であれば1個の部品で対応できる(右)(クリックで拡大) 出典:TDK
またADL3225は、部品の内部にコンデンサも組み込まれている。これは、PoCによるLVDS接続の将来的な高速化を見据えたものだ。現時点では1.5Gbpsのデータ転送速度まで対応しているという。
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