ドローンの編隊がAIで要救助者を発見、2016年内の実用化目指す
産業用ドローンの開発販売を手掛けるスカイロボットは、富士山麓にて人工知能を搭載したドローンを利用したレスキューシステム「TDRS」の実証実験を行う。システムの特許は取得済みで、2016年内の実用化を目指す。
産業用ドローンの開発販売を手掛けるスカイロボットは2016年5月24日、富士山麓にて人工知能を搭載したドローンを利用したレスキューシステム「TDRS」の実証実験を行うと発表した。
実験を行うTDRS(トリプルドローンレスキューシステム)は3機のドローンを用い、要救助者が携帯する発信器「SKYBEACON」を受信しての三点計測にて、要救助者の位置を推定するシステム。発信器は2.4GHz帯の電波を数秒間隔で発信するもので、外的要件にも左右されるが同社では最大約1000メートルの到達を確認している。
TDRSでは対象エリアを3つに分割し、まずはそれぞれにドローンを飛行させる。直径約2000メートルとなる発信器電波の到達範囲にドローンが到達するまで対象エリア内を飛行させ、対象電波を受信した段階で他の2機もその周辺に向かう。
残り2機は対象地点に到着次第、対象電波を受信した機体を囲むように(三点計測可能な状態となるように)搭載するAIの判断によって自動的に周囲を飛行し、遭難者の位置を特定して救助隊へ連絡する。
SKYBEACONは内蔵する電池で1年半近くの稼働が可能であり、TDRSはGPSに依存しない位置測定を行うために当該地区の地形にも左右されないメリットがある。飛行するドローンには赤外線サーモグラフィーカメラが搭載されており、要救助者の状態推測も行える。
富士山麓で行う実験では「登山道から外れた登山者の発見」を想定し、登山道にSKYBEACONを設置。空からドローン、地上から救助隊役の人員を展開する。また、同社ではTDRSの2016年内実用化に向け、ドローン操縦者の養成講座を同年秋に開設する予定としている。
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