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新製品開発部門や調達・製造をサポートする管理間接部門の活動もTPMの重要な柱いまさら聞けないTPM(5)(3/3 ページ)

本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPM(Total Productive Maintenance)とは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説する。第5回となる今回は、「TPMの8つの活動(8本柱)」のうち開発管理と管理間接部門のスタッフに着目した活動を紹介する。

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管理間接部門の活動

 管理間接と一言で言っても間接の業務は多岐にわたります。

 管理・間接部門とは、「生産に直接関わる生産部門以外の全てのスタッフ部門」を指すことにします。従って、管理・間接部門のTPM活動とは、「生産部門以外のすべてのスタッフ部門が担当するTPM活動」と言えます。活動対象を、図3の●★印に示します。とくに、事務機能面と業務機能面の2つが活動対象となりますが、計画保全/開発管理/品質保全活動は業務機能面の活動そのものなので管理・間接部門のTPMからは外して考えます。

図3
図3 管理間接部門のTPM活動対象(クリックで拡大)

 生産システムとは受注から出荷までのビジネスプロセスであり、生産部門や開発部門はもちろん管理・間接部門も含まれています。従って、管理・間接部門のTPM活動は、生産システム効率化に貢献することを狙いとしており、そのためサプライチェーンやデマンドチェーンでのロスの把握や対策も必要となります。その実現には、「事務自主保全活動」「業務個別改善活動」「教育訓練」という3つの活動を推進する必要があります。

 「事務自主保全活動」とは事務の基本条件整備、すなわちミスや不具合によるロスを徹底排除した事務の標準化により、誰が行っても正しく納期通りできるように事務の信頼性向上を目指す活動です。「事務環境面(ハード)の整備活動」と「事務機能面(ソフト)の整備活動」の2つに大別し、設備自主保全同様ステップ展開で進めていきます。業務の見える化の道具として、WBS(Work Breakdown Structure)や巻紙分析、スルーネック分析などを活用し、現状把握および理想のプロセスを追求していきます。

図4
図4 巻紙分析による仕事の見える化の例(クリックで拡大)

 「業務個別改善活動」とは業務機能の充実/拡大や業務プロセスの再構築を図り、さらに原価構成比の改善(コストダウン)に取り組み、直接的に事業利益を高める経営貢献(生産システム効率化)や市場変化への対応力を強化する活動です。

 業務個別改善活動は大別すると、次の4つに区分できます。

  1. 原価構成比の改善:売上に占める総コストの各種費用の比率をロス改善により引き下げ、コスト低減につなげて経営貢献を果たすもの
  2. 部門機能の充実/拡大:将来の経営戦略にマッチしており、さらに他部門から見た自部門の業務機能のあり方を考えて、部門業務機能の再構築を行うもので、これまでに無い新しい業務機能を構築する必要性が生じることもあります
  3. 差別化優位構造の構築:他社との差別化に欠かせないスピード戦略を基本とした革新的業務プロセスの構築を現状を否定して行うもの
  4. 管理コストの低減:アウトソーシングやシステム化などを行い、売り上げに占めるスタッフコストや部門業務運営コストなどの固定費のアンバランスロスを排除するもの

 これら4種類の進め方については、必要性に応じ適宜選択して経営へ直接的に貢献させることが大切になります。

 間接部門も教育が必要であり、業務遂行のための必要知識やスキルの棚卸しを行い、教材作成や訓練で多専多能を図っていきます。

図5
図5 価値工学に基づく管理間接部門のTPM活動体系(クリックで拡大)

⇒前回(第4回)はこちら
⇒次回(第6回)はこちら
⇒本連載の目次はこちら

筆者プロフィル

和泉高雄(いずみ たかお)

 日本能率協会コンサルティング 取締役 TPMコンサルティングカンパニー長

1984年、日本能率協会入職、日本プラントメンテナンス協会、JIPMソリューションを経て現職。早稲田大学 理工学術院 非常勤講師。日本プラントメンテナンス協会 TPM優秀賞審査員。工学院大学(生産機械工学科)、慶應義塾大学(経済学部)卒業。


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