“製造業のため”のIoTや人工知能活用基盤が簡単に構築可能に:製造ITニュース
富士通は2015年9月から展開するデジタルビジネスプラットフォーム「MetaArc」の機能を強化。新たに既存システムのクラウド移行を容易にした他、“製造業向け”など、業種別に最適化した提案を強化する。
富士通は2016年5月17日、同社が2015年9月に発表したデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(以下、MetaArc)」の機能を強化することを発表した。
IoTや人工知能の活用など業務プロセスに先進のデジタル技術を取り込み、抜本的な効率化や付加価値向上に取り組む動きが進んでいる。製造業でいえば、インダストリー4.0や第4次産業革命などといわれる動きも同様の動きとなる。
富士通が2015年9月に発表したMetaArc※)は、これらの新たな技術を活用するICT基盤と、既存のITシステムとを最適に連携させるIT基盤として企画されたものである。既存の基幹システムのクラウド移行や新規ビジネスの迅速な立ち上げに向けたICT基盤の構築を容易にする。企業内の業務処理やデータの記録に利用するSoR(Systems of Record)と、顧客企業などとの関係を構築するSoE(Systems of Engagement)の2つの異なるシステムを同一プラットフォーム上で連携させられる。クラウドやモバイル、ビッグデータやIoTなどの技術を利用した効率的なSoE開発を支援し、ビジネスのデジタル革新を支援するという。
※)関連記事:デジタル革新に挑む富士通、新たなIoT基盤や人工知能も
富士通 執行役員専務で、デジタルサービス部門長 兼 CTOの香川進吾氏は「MetaArcによる新たなビジネスの場を創出する。ビジネスや社会のプロセスにデジタル技術を適用し企業の利益や顧客満足度などの価値につなげていく」と述べている。
業務別のオファリングを強化
これらのデジタル革新による価値を訴求する一方で、多くの企業ではビジネスアイデアを具現化する上で重要な人材不足や、PoC(新しい技術や概念が実現可能であるかという実証)を実施するまでの時間が多くかかるという問題を抱えていた。これらを解決するために強化したのが、成功事例をベースとした業種別提案である「デジタル革新オファリング」だ。
デジタル革新オファリングは、富士通がこれまでに取り組んできた300件以上のPoCの中で得た知見やノウハウに基づき、最先端のICTを活用した成功事例を「モノづくり」や「デジタルマーケティング」などの8分野、合計24テーマにモデル化したもの。ユーザーは、このモデルを活用しながらニーズを明確化することで、新たなデジタルビジネスの立ち上げに要する時間を、最大で従来の4分の1に短縮することができるという。さらに、デジタル革新に向けた共創ワークショップの場「FUJITSU Digital Transformation Center」なども新たに設置し、体験デモなどを通じて課題を明確化できるようにする。一方、基幹システムのクラウド移行などを容易にするような仕組みなども用意。デジタル革新を支援していく。
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