「生産落ちてますね、あそこ直した方がいいですよ」と会話する人工知能:ハノーバーメッセ2016
富士通は、ハノーバーメッセ2016において、製造業としての業務データや生産データを一元管理し統合的に表示する「環境経営ダッシュボード」に、人工知能機能を搭載し、会話しながら工場の問題を解決する提案を行った。
富士通は、ハノーバーメッセ2016(2016年4月25〜29日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、2015年に引き続いてマイクロソフトブース内に出展。マイクロソフトとの協業により実現する製造業向けソリューションを提案した。
富士通と米国マイクロソフトは2015年4月に製造業分野におけるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)活用において協業を発表。Microsoft Azureを利用したさまざまなソリューション提案を進めている※)。
※)関連記事:まずは植物工場から――富士通とマイクロソフトが製造業向けIoTで協業
今回のハノーバーメッセでは、前回も出展した環境経営ダッシュボードに人工知能による音声会話機能を搭載し、より自然な形で工場の生産などの問題解決をできるようにしたことが特徴である。
搭載した人工知能は、開発コード名から「アンナ」と呼ばれており、人間からの音声での質問に対し、これを認識し、与えられた問題を調べて回答するような役割を担う。
環境経営ダッシュボードでは、製品品質、プロセス効率性、および設備の性能を同時に管理することができ、それぞれにドリルダウンできる機能などを備えているが「情報量が多く、問題が発生した場合に何をすればよいのかすぐに判断できない場合などもあった。このプロセスを人工知能による音声会話で支援することで、より次のアクションに結び付けやすくなる」と富士通 統合商品戦略本部 ビジネスアプリケーション推進統括部 データビジュアライゼーション推進部 部長の及川洋光氏は述べている。
自動で作業担当者に連絡する機能なども
今回の人工知能搭載システムでは、問題が発生した場合にはできる限り行動に落とし込むような形で回答する仕組みとなっており、これらにより自動的に製造機械などをコントロールすることも可能だが、及川氏は「最後は人間の判断に委ねる仕組みとしている」と述べる。
「人工知能の判断がまだ全て正しいとはいえない他、現実的に人工知能による間違った判断が発生した際には、製造業の現場などでは大きな危険が生まれる。最終的に人の判断に委ねられるように、自動で問題箇所の担当者にSkypeによる通話ができるようなシステムなども備えている」(及川氏)としている。
及川氏は「現状では製造業において人工知能などをどう使うべきかという議論があると思うが、最終的にはいつでも工場と自由に会話できるような世界を目指したい」と抱負を述べている。
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