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日産が軽自動車の開発を始めなければ、三菱自の不正は隠されたままだったエコカー技術(2/2 ページ)

三菱自動車の燃費測定試験での不正は、日産自動車が軽自動車の開発に着手し、「デイズ」「デイズルークス」の燃費を測り直したことによって明らかになった。芋づる式に、国内市場向けの大半の車種でも不正が行われていることが判明。三菱自動車の不正は、走行抵抗値の測定と国土交通省への届け出の際に2段階で行われていた。

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日産がいなければ明るみに出なかった

会見で経緯を説明する相川氏
会見で経緯を説明する相川氏

 三菱自動車が行った走行抵抗値の測定の不正は、日産自動車の指摘によって発覚した。日産自動車が軽自動車の新モデル開発のため、現行のデイズ/デイズルークスの燃費をあらためて測定したことが、発覚のきっかけになった。

 eKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスは、日産自動車と三菱自動車が折半出資で2011年に設立した合弁会社「NMKV」で共同開発したモデルだ。本来は競合同士の自動車メーカー2社が協力し合うことで、ダイハツ工業やスズキ、ホンダがシェアを握る軽自動車市場での巻き返しを狙っていた。eKワゴンとデイズは2013年6月、eKスペースとデイズルークスは2014年2月に発売。2016年3月末までに4車種累計で、三菱自動車は15万7000台を、日産自動車は46万8000台を売り上げた。

 2015年夏、NMKVで手掛ける新型車の開発を日産自動車が主導することに決まった。日産自動車が得意とする予防安全技術を生かして商品力を向上させるためだ。新型車の開発に向けて日産自動車が現行のデイズ/デイズルークスの燃費を測定したところ、カタログ値と大きく差があり、同年12月に日産自動車が三菱自動車に調査を申し入れた。

 2016年2月には2社で調査を開始し、同年3月に燃費の乖離の原因が走行抵抗値の差であることが分かったという。愛知県岡崎市の開発拠点の性能実験部が不正な測定方法を実施していたことが判明し、同年4月13日に社長である相川氏に報告が届いた。この時、国内市場向けの大半の車種で同様の不正が行われていたことが明らかになった。18日に日産自動車に不正があったことを伝え、20日午後には水島製作所のeKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスの生産ラインを停止し、販売も取りやめた。

 走行抵抗値の不正な測定は開発の後期段階で行われたものであり、「三菱自動車の社内で、設計部門などが気付くことは難しかった。長期にわたって性能実験部内でどのように指示や“引き継ぎ”があったのか、今後の調査で明らかにする」(相川氏)としている。

 また、自動車メーカーから走行抵抗値の申告を聞くだけの国土交通省も、走行抵抗値の測定方法までは確認できなかった。三菱自動車が行った不正は、日産自動車が気付かなければ明るみに出なかったといえる。

 三菱自動車の顧客への対応や、国内の生産拠点や販売店で働く人々の今後、不正が行われた軽自動車以外の車種の扱い、NMKVの運営など、明確になっていない点は多い。三菱自動車は独立性のある外部の有識者のみによる調査委員会を設置し、3カ月以内に何らかの報告を公表する計画だ。

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