人工知能の奇跡的な復権:SYSTEM DESIGN JOURNAL(2/7 ページ)
囲碁王者への勝利を果たすなどAI(人工知能)への注目は依然として高くありますが、研究史を知る身からすれば、AIへの興奮はジェットコースターのようなものであるとも感じられます。多岐にわたる成果を挙げ始めた現代のAIは何が違うのでしょうか。
ルールベースのシステムは、従うべき一連のルールを与えてシステムにタスクを実行させる、という直感的で分かりやすいアプローチをAIに対して取ります。ルールの多くは、「Xが真であればYを実行する」という単純なものですが、この単純な形式から極めて複雑な条件ツリーを作成できます。また、このような構造は、単純なゲーム、あらかじめ定義された特徴に基づく分類、形式論理の操作、ICデザインのパターンがプロセステクノロジーで実現可能であることの確認など、ある種の問題の解決に極めて有効であることが分かりました。
しかし、これらはいずれも人間が意識レベルで考える問題です。人間は、頼まれれば自分の仕事を見せることができます。知覚、判断、認識、直感など、思考プロセスを意識せずに行っている多くのタスクがあります。インテルのフェローであるPradeep Dubey氏は、「ルールは賢明な人々が作ります。しかし、自分自身の論法は極めてあやふやにしか理解していません」と述べています。
ピクセルの集まりが、どんな場合でも自分の母親の顔を表すように決められる一連のルールを想像しましょう。人間ならば、直感的に1つはあるはずと考えるでしょう。しかし、AIの最初の波はこのような問題にぶつかってアイデアと計算能力が完全に枯渇しました。それでもこれは非常に直感的であり、多くの人々はルール、メモリ、MIPSを増やせば最終的には成功できると信じていました。
1960年代半ば、ほぼ時を同じくして、Minsky氏らは全く異なる原点から生まれたアイデアであるルールベースのシステムで、驚くべき初期の成果を示していました。神経生物学者は神経細胞の微細構造を明らかにし始め、神経体、樹状突起、シナプスの不可解な絡まりを生体細胞や電気化学的交換ではなく電子回路網としてモデル化し始めました。
生物学者向けに限定されたものであったのかもしれないこのアイデアは、AIが爆発的に発展するきっかけになりました。当時に利用できたメインフレームで管理できるように単純化された神経回路網モデルはとりわけMinsky氏が支持し、熱心な研究と無数の論文プロジェクトのテーマになりました。
パーセプトロン(Perceptron)と呼ばれた、最も普及したモデルは実際の脳内ニューロンより、つながった場所がはるかに少ないものでした。本物のニューロンが新しいつながりを伸ばし、時間依存関数の複雑なポートフォリオを使用して順応すると考えられるところ、パーセプトロンは入力の重み付け係数を、単純な非線形アグリゲータに調整することによって「学習」しました。
研究者はこのような単純化にもかかわらず、少数のパーセプトロンでも連動させて単純な物体認識タスクや認知タスクを見事にこなせるよう、トレーニングできることを確認しました。ルール・ベースのシステムの研究者など、パーセプトロンの支持者はこの時点で計算能力を使い果たしましたが、十分な計算能力があれば、(生物学者がいないところでニューラルネットワークと呼ばれる)パーセプトロンの本当に大きなネットワークは、よく理解されていないAIタスクにおいてルールベースのシステムを上回るのではないかという強い疑念が生じました。
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