工場でも必要な、IPアドレスとネットワークデザインの考え方:工場用イーサネット入門(3)(2/3 ページ)
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第3回では、工場用イーサネットでも必要なIPアドレスとMACアドレスのルールについて紹介します。
気を付けなければならないルール
例えば、ある会社の内線番号が100番で、他の会社でも内線番号に同じ100番を使っているとします。この場合は、直接外部と内線番号同士で通話することはないので問題にはなりません。しかし、外線番号が重複していたり、同じ会社の中で内線番号が重複していたりすると、ルール違反となり、通話することはできません。このイメージが、そのまま「グローバルアドレス」と「プライベートアドレス」に当てはまります。
このルールを理解していないと、同じ工場のネットワークにつなげるPLCに、同じ「プライベートアドレス」を付与してしまい、PLCが通信できなくなることになります。非常に初歩的な観点ですが、実際に起こった事例です。
IPアドレスは、自動で割り振られたり、環境によっては個々に付与したりしますが、あらかじめさまざまなルールが決められていて、そのルールの中で利用する必要があるのです。
簡単にルールを整理します。
- IPアドレスの1つの数字のかたまりは、0-255までの数字のどれかで表現される
- インターネットに同じIPアドレスは存在してはいけない
- IPアドレスは、大きく「グローバルアドレス」と「プライベートアドレス」に分かれる
- グローバルアドレスは、インターネットに直接接続することができるアドレス
- プライベートアドレスは、会社のLANや自宅などで使うアドレス
会社で利用しているパソコンや、プライベートで利用しているスマートフォン、そして、製造現場でネットワークにつながっているPLCにも、上記のルールに沿ったかたちでIPアドレスが付与されているわけです。なお、IPアドレスは、固定的に割り当てられるものではないので、変更することが可能です。
また、少し複雑になりますが、IPアドレスが活躍するのは、第2回の最後の図で紹介した「OSI参照モデル(7階層モデル)」の第3層にあたる「ネットワーク層」の部分です(図1)。突然、何の話だと思われるかもしれません。これは、次ページで「第2層」で活躍する「MACアドレス」を説明するからです。
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