コニカミノルタは2020年に向け「エッジコンピューティングを強みにしていく」:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
コニカミノルタが、2020年度を想定した事業の方向性や規模感を示す中期事業戦略を説明。2020年度の売上高目標は2015年度比4200億円増の1兆5000億円となる。同社社長の山名昌衛氏は、目標達成に向けて、「サイバーフィジカルシステムの枠組みの中で、エッジコンピューティングを強みにしていきたい」と語った。
デジタルマニュファクチャリング事業「まずは自社内で実践」
産業用光学システム領域は、現時点で計測機器と光学コンポから成る事業領域だ。山名氏は「計測機器で取得するさまざまなデータをクラウドに上げるなどのサービスは既に提供している。このデータをサイバーフィジカルシステムの枠組みで分析し、サービスとして提供するデジタルマニュファクチャリング事業を立ち上げる」と述べる。
デジタルマニュファクチャリング事業でまず取り組むのは目視検査の自動化だ。2015年6月に買収したRadiant Vision Systemsの外観検査装置によって実現する。この他オンデマンドなパーツ製作が可能な3Dプリンタも手掛けるとしている。
なおデジタルマニュファクチャリング事業の展開として「インダストリー4.0やインダストリアルインターネットといった海外のトレンドを研究しつつ、まずは自社内で実践するところから始めている。マレーシアの生産拠点でさまざまな取り組みを進めており、その成果をサービスとして展開していくことになるだろう。2016年4月開催の『ハノーバーメッセ』に初めて参加するが、そこでは顧客やパートナー企業にデジタルマニュファクチャリング事業の狙いや方向性を発信したい」(同氏)としている。
またセキュリティシステムと関わる状態監視領域については、レーザーレーダーやカメラなどの光学コンポから得た大容量のデータを分散処理できるビデオマネジメントシステム(VMS)を持つMOBOTIXを2016年3月に買収した。「われわれが強みとしたいエッジコンピューティングで有用な大容量データの分散処理技術を持っているので買収した。この技術がなければ、センサーを納入するだけの下請けになりかねなかったわけで、非常に重要な買収だったと考えている」(山名氏)。
2015年度の産業用光学システム領域の売上高は計測機器と光学コンポで600億円。2020年度には、計測機器にデジタルマニュファクチャリングが加わり、光学コンポはセキュリティシステムや自動車の運転支援システムに広がり1200億円となると予想している。
機能材料領域は、現時点で液晶テレビなど大型ディスプレイ用のTACフィルムが中心だ。今後のTACフィルムの伸びは期待できないものの、TACフィルムの技術を基にした高機能フィルムや、面光源であるOLEDを使った新たな照明市場の創出などを目指す。さらに、素材事業にも参入する。3Dプリンタ材料や、医薬中間体、有機EL素材など、コニカミノルタが写真フィルムやトナーの開発で培ってきた、分子設計技術、素材生産技術、粒子成形技術などを応用する。
2015年度の機能材料領域の売上高はTACフィルム中心に600億円。2020年度には、高機能フィルム/OLED、素材を加えてTACフィルムの減少を大幅に上回る成長を成し遂げ1000億円を達成する計画だ。
コニカミノルタの2015年度の売上高は1兆800億円だが、2020年度には1兆5000億円を見込む。年平均成長率は6.8%だ。山名氏は「2020年度の1兆5000億円のうち約4分の1は、サイバーフィジカルシステムの枠組みに沿った高付加価値型サービス事業にしたい。この高付加価値型サービス事業が引っ張る形で、営業利益率を2015年度の7%弱から、2020年度には8〜10%に伸ばしたい。こういった高付加価値型サービス事業がなければ、日本の製造業は生き残れないのではないか」と述べている。
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