自動運転で一番大切な部品はSDカード!?:車載半導体
サンディスクは、自動車向けのクラウドサービスや自動運転の普及、IoT(モノのインターネット)に向けて新たに開発した“スマート機能”によって信頼性を向上したSDカード「SanDisk Automotive」「SanDisk Industrial」シリーズを発表した。車載用/産業用ともにデータ容量は最大64Gバイト。2016年4月から販売代理店を通して出荷を開始する。
サンディスクは2016年3月24日、自動車向けのクラウドサービスや自動運転の普及、IoT(モノのインターネット)に向けて新たに開発した“スマート機能”によって信頼性を向上したSDカード「SanDisk Automotive」「SanDisk Industrial」シリーズを発表した。車載用/産業用ともにデータ容量は最大64Gバイト。2016年4月から販売代理店を通して出荷を開始する。
自動運転ではフラッシュメモリが重要な部品に
新製品は“スマート機能”によって信頼性を向上し、データ通信量が大幅に増加するコネクテッドカーやIoTの用途に対応する。
スマート機能は同社の従来のSDカードには搭載していない新開発のものだ。ヘルスステータス/電源瞬断耐性の強化/リードリフレッシュ/プログラミング可能なストリング/ホストロック/納入後の安全なファームウェア更新という6つの機能で信頼性と利便性を高める。
「ヘルスステータス」はSDカードの交換時期や動作状態が正常であるかなどを知らせる。ドライブレコーダーや監視カメラはデータの書き込み頻度が高く、SDカードの寿命が短くなる傾向がある。使用期間を目安にしないことにより、SDカードが保証する書き込み回数までヘルスステータスにより最大限利用できるようにする。
「リードリフレッシュ」は、繰り返しの読み取りによって発生する読み取り不良を防ぐ。
また「プログラミング可能なストリング」によって、SDカードには自動車メーカーや車種、日付などを認証可能なIDを数バイトのデータ容量で付与できる。トレーサビリティーを担保し、自動車ディーラーなどで不具合に対応しやすくする。この他「ホストロック」では、車両ごとの専用のパスワードでデータを保護し、SDカードのデータが不正に改変/複製されないようにする。
こうした機能は、自動車向けのクラウドサービスの普及や自動運転技術の進化によって自動車が扱うデータ量が増え、より高い信頼性が求められることに対応して開発した。
毎秒1Gバイトのデータを処理する自動運転
現状では、NANDフラッシュメモリが使われるのは車載情報機器が主で「地域差があるものの、データ使用量は30Gバイト前後だ。しかし、自動運転に必要な高精度地図、より複雑なOS、音声認識や4K動画、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)などによって、今後、自動車では最大で1Tバイトものストレージが必要になる。自動運転は毎秒1Gバイトのデータを処理するとも言われている。自動車メーカーは、どんな機能にどれだけのデータ量を要するか検証中の段階にある」(サンディスク 車載&コネクテッドソリューション プロダクトマーケティングディレクターのラッセル・ルーベン氏)。
このため、サンディスクはフラッシュストレージが自動車の重要な部品の1つになっていくと見込み、今回の新製品を投入する。
同社の車載用SDカードは採用実績があり、−40〜85℃の温度範囲での動作やAEC-Q100の認証に対応している。
今後は、自動車メーカーなどのニーズに対応して大容量のラインアップを拡充する。「既に民生用で512GバイトのSDカードを販売している。これを車載用に応用するのはさほど時間がかかることではない」(ルーベン氏)としている。
また、メモリの設計や生産、コントローラーとファームウェアまで一貫して手掛ける「垂直統合型ビジネス」で信頼性を向上しながら競合他社との差別化を図っていく。
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