「1週間でIoT製品を世に出す方法」教えます:AllJoyn製品開発と認証の取得(2/5 ページ)
IoT製品の開発に関心を持つ人は多いと思いますが、「接続性の担保」はどう行うべきでしょうか。ここではAllJoynフレームワークを搭載したIoT製品の制作プロセスと、認証プロセスに焦点を当てて解説します。
2. AllJoynでIoT端末を作る!
さて、実際のIoT端末の作成手順は以下です。
極端に書きましたが、マクロ的な間違いはないはずです。AllJoynフレームワークはそれ自体が他の企業も等しく活用しているソフトウェアですので、仕様をバラバラに実装へ落とし込んだ際、直面する接続性の課題もおおむねクリアされているはずです。
ただし、これでビジネスに勝てるかと言えば、そうではないかも知れません。AllJoynフレームワークは確かにさまざまなライブラリやサービスフレームが最初から入っており、かなり“使える”はずです。ただしオープンソースのプロジェクトで提供しているのは、企業や個人が実際のビジネスシーンで必要とされる70〜80%のソフトウェアしか用意されていないと考えてください。
(注:他の標準や規格との対比で言うのであれば、既に70〜80%は用意されているので、その分、自分の時間を使う必要はありません。オープンソースが「安く」そして「早い」ゆえんです。)
そして残りの20〜30%こそがそれぞれのコアコンピタンスであり、秘伝のタレとなります。
AllJoynフレームワークをダウンロードして、一晩掛けて実際にハードに実装してみて、まずは動作が確認されて、充実のランチタイムをエンジョイした後には、自社の秘伝のタレの実装が必要となります(IoTのビジネスにおいてはクラウドサービスであるケースが多いかもしれませんね)。
ここまででやればひとまず、AllJoynが入った世界でたった1つのIoT製品が完成したといえるでしょう。週末のリラックスタイムにコーヒーカップではなく、はんだゴテを握りしめているというタイプの方であれば、驚く程簡単に手持ちのスマートフォンやWindows 10端末、既にAllJoynが搭載され市場に出回っているテレビやスピーカーに接続できるIoT端末を作れるかと思います。
では、実際にこうして出来上がった製品が晴れて店頭に並んだとしましょう。この記事を読まれている方は買いますか? 私は恐らく買いません。理由は簡単です。IoTの製品はつながってナンボのはずなのに、誰もその接続性を保証してくれていないのであれば、一般的な消費者は購入をためらうのでは無いでしょうか?
そこで重要なのが“つながる”ことを証明する「AllSeen認証」です。
IoT製品である以上、つながらなければ価値はありません。第三者機関により接続が保証されている製品であるからこそ、消費者は安心して購入できるはずです。以下ではAllSeen Alliance Certificationの認証プロセスに関して、詳しくご紹介したいと思います。
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