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「Raspberry Pi 3」は“買い”か、公式サイトベンチマーク結果を読み解く

4周年を迎えた日に発表された「Raspberry Pi 3」、国内販売はまだ行われていないが公式サイトではベンチマーク結果が掲載されている。新製品は果たして“買い”なのか、結果を読み解く。

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「Raspberry Pi 3 Model B」
「Raspberry Pi 3 Model B」

 電子工作の素材としてはもちろんのこと、IoT製品のプロトタイピングツールとしても広く活用されているボードコンピュータ「Raspberry Pi」が4周年を迎え、最新製品「Raspberry Pi 3 Model B」が発表された。Wi-Fiを搭載した関係で技適取得の必要が生じ、2016年3月1日現在で国内販売は開始されていないが、Raspberry Pi Foundation公式雑誌「MagPi」のWebサイトには既存製品と比較を含めた各種ベンチマーク結果も紹介されている。

 「B+」シリーズの既存製品との主な仕様を以下にまとめてみたところ、やはり目を引くのは心臓部となるSoC(System-On-Chip)の強化と無線通信機能(Wi-FiとBluetooth)の搭載だ。B+シリーズはいずれもBroadcomのARMコアSoCを搭載しているが、最新製品ではCortex-A53のクアッドコア/1.2GHz(Pi 2はCortex-A7 クアッドコア/900MHz)を採用しており、64bit対応も果たしている。

 物理的なインタフェースに関しては既存モデルとほぼ同じだが、搭載するBroadcom BCM43438によってもたらされる無線機能については極小サイズのアンテナもオンボードで搭載しており、外部アンテナの接続は必要ない。ただし、電源については5V/2.5Aが指定されたことにより既存ACアダプターの流用は避けた方が無難だ。

概要 Raspberry Pi Model B+ Raspberry Pi 2 Model B Raspberry Pi 3 Model B
SoC Broadcom BCM2835 Broadcom BCM2836 Broadcom BCM2837
CPU 700 MHz/ARM1176JZF-S 1コア 900MHz/ARM Cortex-A7 4コア 1.2GHz/ARM Cortex-A53 4コア
GPU 250 MHz/Broadcom VideoCore IV 400MHz/Broadcom VideoCore IV 3D
メモリ(GPUと共用 * ) 512MB 1GB
USBポート 4(LAN9514内蔵ハブ)
映像出力 コンポジットRCA(PAL/NTSC)、HDMI
音声出力 3.5 mm ジャック、HDMI、I2S
ストレージ microSDカード
ネットワーク (RJ45) LAN(10/100 Mbpsイーサネット) LAN(10/100 Mbpsイーサネット)、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth
低レベル周辺機器 GPIOヘッダピン40ピン

 気になるパフォーマンスだが、「MagPi」のWebサイトでは「Sysbench(CPU)」「Python GPIO」「Quake III Arena timedemo」「Whetstone(MWIPS)」「Dhrystone(MIPS)」「Power draw」の各テストについて、Model A+/B+/Zero/Pi 2との比較結果が掲載されている。

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「MagPi」にて公開されているベンチマーク結果の1つ。CPU能力を測定する「Sysbench(CPU)」ではマルチスレッド処理時の能力も測定可能でマルチコアのPi 2とPi 3では高い値を記録している

 詳細な数値についてはサイトのエントリー(RASPBERRY PI 3 IS OUT NOW! SPECS, BENCHMARKS & MORE)を確認して欲しいが、総じて言えばModel A+/B+に比べると買い換えを検討してもよいほどの性能向上が見られる。ただ、Pi 2に比べるとGPIOやグラフィックス、浮動小数点、整数演算などの各種結果はクロック上昇に相当する性能向上となっており、劇的な速度向上とは言いにくい。

 しかしながら64bit対応ソフトウェアを利用すればCortex-A53の能力を生かしたパフォーマンス向上が期待できることは確かで、何よりWi-FiとBluetoothの搭載は既存モデルになかった大きな特徴でありメリットだ(CPUが64bit対応しているのにメモリが1GBというはアンバランスに感じるが)。

 既に使い道が決まっていて必要な機能と処理能力の見極めが済んでいるならばPi 2 Model BやZeroを選択することもありえるだろうが、電子工作のプラットフォームやIoT製品のプロトタイピングツールとしてRaspberry Piをチョイスするならば、Pi 3が最有力候補になるといえる。

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