マブチモーターのノイズ対策:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(3)(4/4 ページ)
「マブチモーター」に代表される直流ブラシ付きモーターは安価で入手性も良好ですが、Arduinoなどと組み合わせる際には発生するノイズが問題となることがあります。そこで今回は、「直流ブラシ付きモーターのノイズ対策」について解説します。
コイルによる対策
コンデンサーでノイズを低減させたうえで、コイルを併用することでさらにノイズを低減させる方法も紹介します。コンデンサーは一般にコイルより安価であり、ノイズ除去対策では定番ですが、コンデンサーで対策を施してもなお誤動作が収まらない場合は、コイルを併用することで効果を得られるかもしれません。
写真のコイルは秋月電子通商などで販売されている東京パーツ工業の製品で、主に商用電源などのACラインに重畳しているコモンモード雑音を除去するフィルターとして使われます。インダクタンスが約1.3mHで100Hz〜100kHzの周波数成分を除去する効果がありますので、コンデンサーとの組み合わせで、直流ブラシ付きモーターのノイズ対策としても効果が期待できます
コイルはコンデンサーと相反する性質を持つ電機部品です。直流あるいは低周波数の信号は良く通しますが、周波数の高い信号は通しにくい特長を持ちます。この性質を利用してノイズのみを遮断する方法があります。
コイルは磁気エネルギーを蓄える特性を持ち、蓄えることのできる磁気エネルギーの量(インダクタンス)の単位は、ヘンリー(H)です。同じインダクタンスの場合、周波数が高くなるほど信号を通しにくくなります。ノイズ除去の用途では写真のようなコモンモードノイズフィルター(チョークコイル)が用いられます。
また、コイルはノイズ対策以外にもコンデンサーと組み合わせて特定の周波数を発振させたり、高周波成分の中から特定の周波数のみを選択してりする用途にも用いられます。
コンデンサーでノイズを低減する場合はモーターの端子に対して並列、あるいは端子とフレーム間に接続しましたが、コイルは直列に配置します。
おわりに
今回は直流ブラシ付きモーターのノイズ対策についてお話してきました。コンデンサーやコイルといった最も基本的な電気部品を適切に用いることで対策ができることを学びました。そのためにこれらの部品の役割や特性を正しく理解することが必要です。
今回はマイコンも半導体も出てこない地味な話題に感じるかもしれませんが、電気回路の基礎をしっかり身に着けて真のマイコン技術者になって頂きたいと思います。次回も引き続き、直流ブラシ付きモーターをマイコンから制御するためのさまざまなTipsを紹介したいと思います。(次回へ続く)
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