連載
「Lite」で普及の兆しを見せる「ECHONET」、波乱万丈の20年史と今後の課題:IoT観測所(18)(2/4 ページ)
国内HEMSの標準プロトコルとなり電力自由化の後押しもあって、普及の兆しが見える「ECHONET Lite」だが、前身のECHONETを含めると苦難の連続といえる。その歴史を振り返り、現状の課題を確認する。
ちぐはぐさが否めないECHONETの設計
Photo02がそのECHONETのブロック図であるが、例えばBの「省電力無線」はZigBeeやBluetooth LE(BLE)ではなく、ARIBのSTD-T67/STD-30に準拠した、426MH帯もしくは429MHz帯を利用する、2400bpsないし4800bpsの通信方式を指す。
これは規格制定が始まった2000年前後にはまぁ現実的ではあったが、2016年の現在に至っても現実的かといわれるとちょっと無理がある。LonTalkも同じだ。Bluetoothは幸いにもサポートしているが、BLEではなくBluetooth 1.1準拠というあたりがいろいろ泣けてくる。
Photo02:ECHONET SPECIFICATION Version 3.21の“第1部 ECHONETの概要”の図3.2より抜粋。ここで各所に特定の物理層を定めてしまったのが足かせになった部分は否めない
要するに、仕様策定時点での規格を前提にがっちり物理層を固めてしまったので、その後に出てきて普及した仕様に対応できなくなっているのが最大の問題である。また古い規格を利用した結果として、全ての機器で利用できるような規格を想定できず、なので複数種類のネットワークをルーターでつなぐ仕組みにした(Photo03)判断は間違ってないとは思うが、現実的かといわれるとこれも難しい。
関連記事
- 日本発の無線規格「Wi-SUN」、国際展開への飛躍を阻む4つの問題
IoTにまつわる標準化規格で数少ない日本発の規格が「Wi-SUN」だ。家庭向けに低消費電力でメッシュネットワークを構築できるWi-SUNの特徴と、国際的なデファクトスタンダード化を阻む問題について解説する。 - IoT団体によるUPnP(Universal Plug and Play)吸収を読み解く
インテルやサムスンらが主導するIoT標準化団体「OIC」が、UPnP(Universal Plug and Play)Forumを吸収した。UPnPの推進する“挿すだけで使える”をIoTに持ち込むことは理にかなっているように思えるが、AppleのHomeKitや、GoogleのProject Brilloに対する競争力はあるだろうか。 - 出遅れた老舗「oneM2M」、Alljoyn連携で巻き返しなるか
通信関係の標準化団体が組織した「oneM2M」は、M2Mプラットフォームの水平化を狙うが、IoTを取り巻くスピードは速く、実装までを考えると遅きに失する感が否めない。Alljoynとの連携での巻き返しを狙う。 - アマゾン「AWS IoT」は何が衝撃的なのか
米Amazonが発表したIoTサービス「AWS IoT」は業界に大きなインパクトを与えた。一企業の発表した取り組みがなぜ、IoTを取り巻く各社に大きな影響を及ぼすのかを考察する。 - ARM「mbed OS」の現在地
ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」は2015年10月のリリースを目指して作業が進められており、その意図するものもある程度は見えてきた。Bluemix連携やMUCの55mmシフトなどトピックの多いmbed OSの「いま」を解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.