テスラの“低価格”電気自動車「モデル3」、2016年3月末に公開へ:電気自動車
Tesla Motors(テスラ)は、同社が「一般消費者に受け入れ可能」とする電気自動車「モデル3」を2016年3月31日に公開するとともに受注を始める。2017年末には、生産と出荷を始める計画だ。
Tesla Motors(テスラ)は2016年2月10日(米国時間)、2015年度(2015年12月期)第4四半期の決算説明の中で、同社が「一般消費者に受け入れ可能」とする電気自動車「モデル3」を2016年3月31日に公開するとともに受注を始め、2017年末に生産と出荷を始めることを明らかにした。
これまでテスラは、高級スポーツカーの「Roadster」、高級セダンの「モデルS」、高級SUVの「モデルX」などの電気自動車を販売してきた。これらは、BMWやDaimler(ダイムラー)、Audi(アウディ)、Porsche(ポルシェ)、トヨタ自動車のレクサスブランドといった高級車が競合車種となっている。
今回の決算説明の中でも「2015年の米国大型高級車市場において前年比で成長したのはモデルSだけ」(テスラ)と主張。モデルSの2015年の売上高は前年比51%増の2520万米ドルだったが、アウディの「A7」「A8」、BMWの「6シリーズ」「7シリーズ」、Jaguar(ジャガー)の「XJ」、レクサスの「LS」、メルセデス・ベンツの「CLSクラス「Sクラス」、ポルシェの「パナメーラ」は全て売上高が前年比で減少したとしている。
モデルSの最上位モデル「P85D」の価格が12万8500米ドル、モデルXの最上位モデル「P90D」は約14万米ドルとまさに高級車だ。これらに対して、テスラの社是「持続可能な移動手段への移行を加速する」を実現するのに必要なのが、「一般消費者に受け入れ可能」な電気自動車であり、それがモデル3だ。
モデル3の価格は3万5000米ドル程度に設定されている。この価格は、同社の巨大リチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」が、当初計画通り2017年中に立ち上がることで実現できるという。テスラが2016年に予定している15億米ドルの投資には、ギガファクトリーへのものも含まれており、2017年末のモデル3の生産と出荷をスケジュール通りに進める力になるとしている。
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