ヘッドランプ進化の歴史、シールド式からハロゲン、HID、LED、そしてレーザーへ:いまさら聞けない 電装部品入門(23)(5/5 ページ)
自動車が夜間走行する際に前方を照らすとともに、その存在を他の車両や歩行者に知らせる役割も果たすヘッドランプ。かつて北米で義務付けられていたシールドビーム式から、ボディ内部に格納できるリトラクタブル式、ハロゲン、ディスチャージ、近年採用が拡大しているLED、そして次世代技術のレーザーまでを総ざらえする。
運転支援システムと連動するヘッドランプ
視界確保という点でみると、10年以上前に登場したAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)があります。
これは夜間のコーナリング時に、舵角や車速に合わせてヘッドランプの照射方向を進行方向に合わせて変化させるシステムです(変化角には限度があります)。
また冒頭でも触れましたが、今はハイビーム走行を少しでも増やそうという考え方が主流になっていることから、システム的にハイビーム走行を積極的に行うようになってきています。
各社でシステム名称は異なり「オートマチックハイビーム」「ハイビームサポートシステム」ハイビームコントロールシステム」といった名称がついています。
システムの基本動作は、車両に設置されたカメラなどで先行車両のテールランプや対向車両のヘッドランプを検知し、先行車両や対向車両がいないと判断した場合にはハイビームを点灯します。先行車両もしくは対向車両のどちらかの存在を認識した場合は、ロービームに自動で切り替えるという流れです。
さらにレクサスの一部車種や「クラウン」などで採用された「アダプティブハイビームシステム(AHS)」に至っては、ハイビームとロービームを切り替えるだけではなく、先行車両や対向車両の周囲のみをハイビームによる幻惑が生じないように、ヘッドランプ内に組み込まれた遮光シェードを可変させるという技術になっています。
この技術は現時点で、夜間の視界確保の観点で最高水準の安全装備でしょう。
後はレーザーヘッドランプとの組み合わせが実現できれば……と個人的に期待しています。
ヘッドランプは夜間の視界確保という観点以外にも、自動車のデザインとしても大変重要な部品です。
樹脂成型技術の向上やLEDの普及によってデザインの自由度は飛躍的に向上しており、今後も今まで見たことが無いようなヘッドランプが続々と登場してくると思います。
ここでご紹介できなかった技術も多数ありますが、ヘッドランプは自動車が登場してから今に至るまで、常に進化を続けている部品です。
何げなく目にするヘッドランプも、今回ご紹介した技術を踏まえた観点で見てみると面白いと思いますよ♪
筆者プロフィール
カーライフプロデューサー テル
1981年生まれ。自動車整備専門学校を卒業後、二輪サービスマニュアル作成、完成検査員(テストドライバー)、スポーツカーのスペシャル整備チーフメカニックを経て、現在は難問修理や車両検証、技術伝承などに特化した業務に就いている。学生時代から鈴鹿8時間耐久ロードレースのメカニックとして参戦もしている。Webサイト「カーライフサポートネット」では、自動車の維持費削減を目標にしたメールマガジン「マイカーを持つ人におくる、☆脱しろうと☆ のススメ」との連動により、自動車の基礎知識やメンテナンス方法などを幅広く公開している。
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