スタンレー電気がレーザー光源を用いたヘッドランプを開発、「SIM-CEL」に搭載:前方にレーザー発射!
スタンレー電気は、レーザー光源を用いたヘッドランプを開発した。電気自動車(EV)ベンチャーのSIM-Drive(シムドライブ)の試作EV第3号車「SIM-CEL(シム・セル)」に搭載されている。
スタンレー電気は、レーザー光源を用いたヘッドランプを開発した。電気自動車(EV)ベンチャーのSIM-Drive(シムドライブ)が2013年3月27日に発表した試作EVの第3号車「SIM-CEL(シム・セル)」(関連記事:シムドライブの第3号EV「SIM-CEL」、「突き抜ける加速感」で自動車の魅力を追求)に搭載されている。
SIM-CELのヘッドランプは、ロービーム用に、LEDを用いたモジュールと、レーザー励起の白色光源を用いたモジュールを、それぞれ2個ずつ搭載している。ヘッドランプの上側に2個並ぶLEDモジュールは、路面全体を照らす役割を担う。一方、ヘッドランプの下側に2個並ぶレーザー励起光源モジュールは、遠方を明るく照らすのに用いる。
実際に、開発品のヘッドランプとLEDモジュールだけのヘッドランプ(LEDヘッドランプ)の性能を比較すると、ヘッドランプによる光で3ルクスまでの明るさで照らせる距離は、開発品が170mあったものの、LEDヘッドランプは115mにとどまった。つまり、遠方視認距離を1.5倍に拡大できたことになる。また、距離10mの照度は、開発品が186ルクス、LEDヘッドランプが172ルクスとほぼ同じだったが、距離65mの照度は、開発品の18ルクスに対して、LEDヘッドランプは10ルクスと明るさがほぼ半分になった。
この他にも、レーザー励起の白色光源は、LEDと比べて、輝度が約2.5倍あり、発光サイズが10分の1で済む。このため、ヘッドランプの小型化も可能になるという。さらに、開発品は、レーザー励起光源を使用しているものの、「ランプおよびランプシステムの光生物的安全性」の規格(JIS C 7750、IEC 62741)にも適合している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- シムドライブの第3号EV「SIM-CEL」、「突き抜ける加速感」で自動車の魅力を追求
電気自動車(EV)ベンチャーのSIM-Drive(シムドライブ)は、試作EVの第3号車「SIM-CEL(シム・セル)」を発表した。従来と同様に満充電からの走行距離で300km以上を確保しながら、高級スポーツカーと同等以上の加速性能や乗り心地によって、購入したいと思えるような魅力を追求したEVとなっている。 - 輝き放つ車載LED
かつて、自動車で用いられるLEDと言えば、リアランプやメーターパネルの表示灯の光源として用いられる赤色もしくは黄色のものが中心であった。それに対し、現在ではへッドライトをはじめとするさまざまな自動車システムで高輝度の白色LEDが使用されるようになった。その結果、車載LEDの市場は大きく拡大しようとしている。本稿では、LED開発の歴史を概観した上で、LEDの特徴と、車載用途におけるLED採用のメリットについてまとめる。また、ヘッドライトをはじめとするLEDの採用事例や、車載用LEDドライバの開発動向について紹介する。 - LED電球1個で部屋全体を照らせる? 新蛍光体が“まぶしくない”LED照明を実現
LED照明を家庭に導入した後で、従来の照明器具にはない“まぶしさ”や、部屋の壁際での暗さを感じたことはないだろうか。こういったLED照明の課題を解決できる、新たな蛍光体が開発された。