エアバッグにさらなる欠陥、コンチネンタル製ECUが腐食により動作しないおそれ:安全システム
米国道路交通安全局(NHTSA)は、コンチネンタル製のエアバッグECU(電子制御ユニット)に不具合があることを明らかにした。対象となるのは2006年1月〜2010年12月に製造した約500万ユニット。腐食を起こす可能性のある電源供給ユニットを搭載しているため、エアバッグECUが正常に動作しないおそれがある。
米国運輸省(DOT)の道路交通安全局(NHTSA)は2016年2月4日(米国時間)、ドイツのティア1サプライヤContinental Automoitve Systems(コンチネンタル)から、同社製のエアバッグのECU(電子制御ユニット)に不具合があるという報告を受けたと発表した。
対象となるのは2006年1月〜2010年12月に製造した約500万ユニット。腐食を起こす可能性のある電源供給ユニットを搭載しているため、エアバッグECUが正常に動作しないおそれがある。
エアバッグECUが正常に動作しない場合、衝突事故の際にシートベルトプリテンショナーやエアバッグなどの関連システムが働かず、乗員への被害を大きくする可能性がある。さらに、幾つかの車種では、エアバッグが事故発生とは無関係に展開する可能性もあるとしている。
このコンチネンタル製エアバッグECUの不具合に対応し、ホンダが2008〜2010年モデルの「アコード」約34万台1000台のリコールを発表している。対応としてはECUの交換になるが、供給時期は2016年秋までとなっている。Fiat Chrysler(FCA)も2008〜2009年モデルの「Dodge Journey」など約11万2000台のリコールを発表済みだ。
エアバッグに起因するリコールは、タカタ製インフレータの不具合により全世界で数千万台規模に達している。交換用のインフレータが不足している中で、さらにECUという他の原因によって500万台規模の不具合が発生することは、自動車メーカーをさらに悩ませそうだ。
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